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1943年東京都生れ。
2007年中美展初入選。2011年中美展会友推挙、東京中美賞受賞。2017年中美展都知事賞受賞。現在中美会会員として制作活動を展開中。
これまで取材したプロ

机は楽しさを享受させてくれる場所。

本来、絵は何で描いてもよい世界ですが、意外に制約が多いのも現実です。ミックスメディアでは絵具以外のものを自由に使います。本当に楽しい技法なのですがやっている人が少ないのも事実なのです。綱脇節子さんは種々の素材を使い独特の表現を作り上げています。楽しみながら制作する姿は、見ている人をも楽しくさせてくれました。

・お子さんの頃のことから。
綱脇「おとなしいというか部屋で遊ぶのが好きな子供でした。絵を描くのが好きでクレヨンを使ってずっと絵を描いていました。小学校に行くようになり、外でも遊びましたが、家でますます絵を描くようになりました。絵がコンクールで金賞とかを取ると嬉しくてさらに描きました」
・いつ頃から画家を意識した?
綱脇「高校では美術部にいましたが画家を意識したことはありませんでした。絵を描くのは好きでしたが、あくまでも趣味として描いていましたね。ですから本格的な絵の勉強をしたというわけではありません」
・大学で専攻したのは?
綱脇「歯学です。それは歯医者の道を選んだからです。卒業後、歯医者として開業し、数年前までやっていました」
・いつから絵を?
綱脇「絵は歯医者をしているときも描きたかったです。ですから、医院を閉じてすぐに絵に専念しました。最初は油絵をやっていましたが、水彩に変えて中央美術会に入会しました。絵を本格的に始めたのはそこからです」
・どんな絵を描いていた?
綱脇「いろいろなモチーフを描きました。風景も好きだったのでよく描きましたね。私の水彩は淡彩ではなくこってりとした表現です。使っていたのは不透明水彩です。こってりとした表現に向いているのがアクリル絵具だと知り、使い始めました。使ってみると自分にはアクリルが合っていると分かりました」
・コラージュを始めたのは?
綱脇「急に思いついたとしか言いようがありません。一作一作何か工夫して制作するのに興味を持っていました。いろいろな素材を基底材に貼り付けて、着彩することで厚みのある表現ができました。最初の内はやり過ぎではないかと言われたりしましたがチャレンジだと思って続けてきました」
・どんな素材を?
綱脇「始めは発泡スチロールなども使いましたが、今は網タイツや布など幅広く使っています」
・注意していることは?
綱脇「私の作品は抽象画ですが、元になるヒントがあります。象とかゴリラといった動物をイメージし、その生命や迫力を表現することです」
・これからの夢は。
綱脇「ワビとかサビが好きなので水彩と墨絵のコラボとか、コラージュの小作品を制作していきたいです」
・ありがとうございました。



 

「体をぶつけて制作するのは気持ちいいです。ワビとかサビが原点ですが、材料を重ねてボンドで貼り付け、さらに色を重ねていきます。制作時間は3カ月くらいです」

「MASK」M200
「魂」F200
 
「沈黙」F150