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神奈川県横浜生まれ。1997年より東光展における各賞受賞。2010年同損保ジャパン美術財団奨励賞受賞。2011年-13年日展入選。画家、グラフィックデザイナーとして活躍。
これまで取材したプロ

机は夢を実現させてくれる場所。

動物の絵はどうしても柔らかい表現になります。表現の特徴を作り出している毛の役割は大きいです。女性の髪の毛もそうですが、細い線を描くのはそれほど簡単ではありません。飯田祐子さんは人や動物等を生き生き描く画家さんです。人が持っている何とも言えない優しさを絵にしたり人形にできる方でした。

・お子さんの頃は?
飯田「いつも家の中で絵を描いているような大人しい子でした。小学校の頃も目立たない普通の子だったと思います」
・絵の勉強は?
飯田「中学から水彩やアクリル絵を教えてもらっていました。高校の頃は人物を中心に描いていましたが、なんとなく画家やイラストレーターになれればいいなと思っていました」
・どのようにして絵の道に?
飯田「グラフィックの仕事に就いたのですが、公募展には出品するようにしていました。絵で食べていくことは難しいので、働きながら絵を描くということを続けてきました」
・どんな絵を描いていた?
飯田「人体を中心に描いていました。初期の頃はアクリル絵具を使ったりしていましたが、油絵と水彩をやるようになっていきました。今は主に油彩とテンペラを併用しています。今でも人体への研究は続けています。それが高じて人形まで作ってしまいました。絵のモチーフとしてもよく描いています」
・画家としての道は?
飯田「公募展を中心に制作してきましたが20年を経て、脱退し新たな表現を試みるため、個展中心に切り換えました。団体には入らず、自分に合った技法を追求し、好きな絵を自分の思い通りに描いています」
・なぜテンペラを?
飯田「細い線を一本一本描き出すのはテンペラのほうが適している場合も多く、作業自体気持ち良くできるのです。それと、テンペラは乾燥が早いので、細かい作業には向いています。油彩とテンペラの併用がほとんどですが両者の相性はよいです。透明水彩やパステルも使っています」
・大切にしていることは?
飯田「下地作りですね。板に石膏を塗り、それを研いで、その上に描きます。さらに何層にも重ねていきます。それによって深みのある表現ができます。人の関節、骨格や筋肉などをしっかり認識することも大切です。そのために球体関節の人形の研究もしています。私にとって人を平面で描くのも立体で作るのも同じことです」
・画材によって基底材を変える?
飯田「もちろんキャンバスや水彩紙も使います。着彩の時の弾力的な反応が違うので新鮮に感じます」
・これからの夢を。
飯田「人物をこれからも描き続けたいです。人物への興味は尽きることがありません。その意味からも人形作りも続けていきます」
・ありがとうございました。

 

*編集部より*
飯田祐子さんのサイトがあります。ご覧ください。
http://atelier-ill.ocnk.net

「悩んでいる時間の方が多いのですが、頭の中のイメージを現出させるのは楽しいです」

「暁」 F100
「冒険初日」 F4