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1965年熊本県生まれ。1991年東京芸術大学大学院修了。1994年第70回白日会初出品白日賞。2002年第34回日展 特選。日展審査員、美術関連著作多数。
これまで取材したプロ

机は向こう側の世界の入り口。

人物画は画力がはっきり表れます。デッサンや着彩などの力を高めることでより魅力的な作品が生まれます。写真では出せない内面からの人間性が描ける画家は実は少ないのです。大友義博さんは名実共にトップの画家です。教鞭を執る学校にお邪魔し、紙に油絵で人物を描いていただきました。柔和さと人物の大きさを感じ一瞬でファンになりました。

・まず子供の頃のことを。
大友「目立たないというか、大人しくて、落書きを好む子供でした。父が大工でしたので、壁への落書きは許されていました。小学校高学年の頃はイラストとかマンガを描いていました。中学校では、野球部に入りましたが、後に美術部に転部しました。結果的に、この転部が人生の岐路だったと言えます」
・その意味を教えてください。
大友「美術部の先生が芸大を出られた方で、私の作品を見て芸術系の高校への進学を勧めてくれました。1年のときは絵画の基礎を勉強しましたが、2年から油絵を学びました。自分の実力や才能がどの程度のものかも分かりませんでしたが、先生方からおだてられて芸大を受験することにしました」
・それで芸大に?
大友「受験のための勉強不足で、一浪しました。父から、もし今度落ちたら大工になれ、と言われました。それが、覚悟を決めさせる一言になりましたね」
・大学では人物画を?
大友「いえ、当時は現代美術が先行していましたので、抽象画を描いていました。その後、予備校の講師をしているときに具象の面白さにあらためて気づき始めました。人物画を制作していましたが風景画も描いていました。抽象画を勉強したことは今とても役立っています」
・どのような勉強を?
大友「ただ描くというだけでなく、修復や模写も積極的にやりました。模写をやるとその画家との対話ができます。なぜ、そのように描いたのか、教えてくれます。歴史から学ぶということでしょうか」
・人物画を描くときは?
大友「あまり、時間をかけないことですね。素材の持ち味を生かすというか、そこは日本食に似ています。いじりすぎると絵が死んでしまうことがあります。そういった意味でモデルの自然さを大事にしています」
・紙に描く油絵は?
大友「紙に描く油絵はロートレック等海外では珍しくありません。紙は吸い込みがあるので、早く描けます。重ね塗りもできるので、重厚な色出しが可能ですね。油絵の練習にも適していると思います。色付きの紙なんかも使え、オススメです」
・これからの夢を。
大友「アンドリュー・ワイエスなどに見られる、にじみやかすれなど偶然が作り出す現象の要素を多く含んだ具象画に挑戦していきたいです」
・ありがとうございました。

 

*編集部より*
大友義博さんのサイトがあります。ご覧ください。
http://members3.jcom.home.ne.jp/otomo-yoshihiro/


「絵というのは下地作りが大変です。仕上げの段階、つまり最後の最後に楽しさがやってきます」 
「遥光」2010年 第41回日展
日展会員賞受賞
 
「花摘みのうた」2013年 第44回日展
 
「アルザスの風」2014年