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1975年滋賀県生まれ。東京在住。2000年京都造形大学洋画コース卒業。書籍、雑誌、広告などの装画を担当。著書に『コラージュのおくりもの』『コラージュ図案帖』などがある。
これまで取材したプロ

机は大きい意味で仕事をする場です。

 コラージュは20世紀初頭にヨーロッパで生まれた技法です。絵具を否定し、代わりに印刷物を使うという過激なものでした。時代は進み、絵具との融合による新たな表現へと進化してきました。その旗手ともいえる井上陽子さんは印刷物とか絵具という垣根をなくした方です。興味深いお話が続きました。

・子供の頃のことから
井上「活発というより引っ込み思案な子供でした。ものを考えながら作るのが好きでした。小学校の時はマンガを描いては友達と交換し合ったりしていましたが、スポーツとかはあまりしませんでしたね」
・描くことが好きだった?
井上「そうです。中学生のときには同人誌を仲間で作って売りに行ったりしていました。パロディとかアニメに夢中でした」
・美術への道は?
井上「中学では一応、美術部に入りましたが、いわゆるオタクでした。ただ、誰かと繋がることが楽しかった。それと美術の研究所に通い、高校に行ってから受験のためのデッサンを始めました。大学ではとにかく絵が描けるんだったらいいと思って、油絵を専攻しました」
・油絵画家を目指した?
井上「いいえ。次第に油絵は自分に合っていないなと思うようになりました。キャンバスよりも紙が好きなんだということに気がついた。コラージュに自然に向いていきました」
・大学卒業してからは?
井上「東京に出てきて、すぐに美術モデルを始めました。友達とグループ展をしたり個展などの活動をしてました。この時の経験は現在の仕事に生かされています。何事も絵を作る自分に役立つのだと思います。イラストならやれると思いポートフォリオを作り出版社廻りをしました。ぽつぽつ入る仕事をしながら『紙が好き』を再確認し、他の人とは違う表現をということで、コラージュを本格的に制作し始めました」
・どんな技法を?
井上「日本に帰国して、ニューヨークを題材にした壁画の仕事や展覧会を活発に行いました。その時まで、スケッチが仕事になるとは思ってもいませんでした。ピグマペンのような耐水性のペンによる現場スケッチが基本です」
・プロとしてやっていけたのは?
井上「私は30歳までに何にもならなかったら、故郷に帰ろうと決めていました。30歳を境に仕事の風が吹いてきたのです。うれしいことに雑誌とか、雑貨とかの仕事が増えていきました」
・コラージュとは?
井上「最近は絵具で描くこととコラージュすることの境がなくなっています。どこからどこまでがコラージュとか言えなく、両者が融合している状態になってきました。自分の作品のベースになっているのは、田舎の自然の風景だったり、色あせた古いイメージです。映画などからの影響もあります」
・これからは?
井上「自分の作品によって風や光を感じてもらえたらうれしい。自分の作るものにもう少し自信を持ちたいです。続けることに意義がある、と思って仕事をしていきます」
・ありがとうございました。

 

*編集部より*
井上陽子さんのサイトがあります。ご覧ください。
http://www.craft-log.com/


「材料は外国の印刷物を色別にストックしたり、コーヒーや絵具などで染めたりしています。自分の思想と指先が一致できたら最高ですね。考えるための手段として作品を制作しています」
「うるし」
 
「コラージュ・ノート No.18」