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1952年東京都生まれ。76年武蔵野美術大学商業デザイン科卒。77年ギャラリー21(銀座)で3 人展。それをきっかけにイラストレーターに。宝塚大学新宿キャンパス教授。
これまで取材したプロ

机は頭の中への入り口です。

 光沢のないアクリルガッシュは、しっとりとした滑らかで奥行きのある表現ができます。油絵やアクリル絵具では出せない不思議な立体感を作ることもできます。夢とメルヘンの巨匠北見隆さんは、独自の世界を作り上げました。流木などを使った立体作品も手がける北見さんは、いたるところに絵の材料を見いだす天才なのだと思いました。

・小さい頃のことから。
北見「幼稚園に近所の画家の先生が教えに来ていて、それをきっかけに絵を描く面白さを知りました。丘の上にある先生のアトリエにも遊びに行ったりして、絵描きという職業をそのとき知りました」
・絵に関する強烈な思い出は?
北見「小学校4年の時に、自分が描いた絵が教科書に掲載された事でしょうか。それとその頃図工の時間での廃材を使った工作が楽しくて、その延長で今でも似たような物を作っています」
・中学時代は何を?
北見「十代は体育が得意な子がもてはやされる傾向があり、絵を描く事が軟弱に思われ、美術を避けました。ただ授業とは別に友達同士で写真に熱中したり、怪獣の人形を作ったりはしていました」
・絵の道を志したのは?
北見「以前から漠然とは美術関係に進むのかなと思っていましたが、大学受験の際に進路を考えねばならず、この道しかないなと決意しました」
・大学では?
北見「高校時代に素直に美術クラブに入らなかった後悔から、大学では本音で行こうと漫画研究会で活動していました。3年の時にイラストレーションクラブを設立し、仲間たちと創作活動をやっていました」
・卒業してからのことを。
北見「実は、イラストレーターのなり方が分からず、とりあえずデザイン会社に就職しました。半年後に辞め、グループ展をやったりしていくうちに仕事に繋がって行きました」
・画材は?
北見「最初は当時出始めていたアクリル絵具を使っているうちに、あの透明感やテカテカとした雰囲気になじめずアクリルガッシュを使うようになりました。時々、日本画の顔料や箔なども使います」
・アクリルガッシュの良さは?
北見「濃い色の上に塗り重ねても被覆力の強い絵具ですが、紙ヤスリ等でこすると下地の色が覗いて、様々なマチエールが楽しめます。フラットな画材に思われていますが、僕にとっては深みのある古典的な風合いを出せる絵具です」
・これからのことを。
北見「50歳を過ぎた頃から、ようやく自分なりの顔が描けるようになってきました。過去の絵を見ると欠点もよく見えるので、今の技術をさらに深め自分で納得のいく絵を描いて作品を通して、社会に美を発信して行けたらと思います」
・ありがとうございました。

 

*編集部より*
北見 隆さんのサイトがあります。ご覧ください。
http://www.ne.jp/asahi/takashi/kitami/


「額を作り、それに合う絵を描くこともあります。今風に描くのに抵抗があって、アールデコとかロシアのイコン風に描いています」
(撮影協力:宝塚大学 新宿キャンパス)
「物語の始まり」
 
「部屋の中のアリス」