オイルパステルは子供の頃に体験する画材。子供は伸び伸び描いていますが、実はなかなかの曲者。本格的に使いだすと、種々の制約が見えてきます。使いこなすとほのぼのとした味が生まれてきます。祖敷大輔さんの作品にはオイルパステルならではの心温まる表現で溢れています。プロになられるまでのヒストリーは興味深く、きっと参考になります。
・少年時代のことを。
祖敷「山口県に生まれ、瀬戸内海に近い広島で育ちました。子供の頃は兄が見ていたアニメのキャラクターを真似して描くのが好きでした。でも、絵を描くことが特にカッコイイとは思っていませんでしたね」
・いつごろから絵に興味を?
祖敷「高校のときに、美術の先生の勧めもあって美術部に入りました。その先生は画家でもあり、絵を描くかっこよさを身近に感じさせてくれました。美大に進学しようと思ったのは、唯一ワクワクできるような進路に思えたからです」
・大学では絵の勉強を?
祖敷「私が専攻したのは視覚伝達デザイン学科です。授業には出ましたが、頭で考えることを求められることが多く、手を動かして何かを作りたいという当時の自分の気持ちとのギャップがありました。バンドをしたり、映画や美術を見る方に力を注いでいましたね」
・プロになるきっかけは?
祖敷「大学の図書館で美術教育雑誌を見ていて、そこに掲載されていた子供のまっすぐな絵に衝撃を受けました。その時吹っ切れて自分もストレートにただ描こうと。それから持っていた無印のメモ帳にダーマトグラフで思いついたものを描くことを始めたんです。毎日ひたすら何でもいいから描き続けました。メモ帳が積み上がっていくのに快感を覚えましたね。これを大学で教わっていた三嶋典東さんに見ていただき、もっとやるようにと言ってもらったんです。自分の道が見えた瞬間ですね」
・それでイラストレーターに?
祖敷「いえ、大学を卒業して新聞社の広告局に勤めました。しかし、描きたい気持ちが強く、4年で退職してメッセンジャーをしながら売り込みを続けました。それから2年ぐらいしてようやく雑誌の挿絵の仕事などがもらえるようになりました」
・その時の画材がオイルパステル?
祖敷「そうです。自分の性格に合っていましたね。望む色がすぐに使えるというメリットと、後戻りしにくいという不自由さを兼ね備えている画材です。描きづらさは、どう乗り越えようというアイディアが生まれるチャンスになります」
・これからのことを。
祖敷「これまでの仕事は受注が基本なので、グッズ制作など発信型の仕事もしていきたいです。媒体にこだわらずいろんな場所で描き続けていきたいですね」
・ありがとうございました。
*編集部より*
祖敷大輔さんのサイトがあります。ご覧ください。
http://www.soshikidaisuke.com/
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