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1961年千葉県生まれ。83年独立展出品(以後毎年出品) 2002年第70回独立展小島賞。 05年第73回独立展会員推挙。 現在、独立美術協会会員。
これまで取材したプロ

机はただの道具にしか過ぎません。

「写実」とは事実を描くのであって、ある意味からすると、写実画家は写実をしていないといえます。実際にはそんな風景はこの世界に存在していないからです。石川和男さんの絵はリアルです。しかし描かれているシーンは絵の中だけに存在しています。卓越した表現力の持ち主だけが到達できる画風です。アトリエに暖かく迎えていただきました。

・まず子供の頃のことを
石川「越境入学した小学校に通学していたため、近所に友達がいないので、一人遊びの時間が多かったですね。家の庭に出て昆虫を観察したりするのに熱中していました。昆虫や鳥類の種類をほとんど覚えましたよ」
・絵との接点はあったのですか?
石川「自然と親しむことが多かったので特に絵だけに没頭するということはありませんでした。幼稚園の頃から美術全集を見るのが好きでしたね」
・では、いつごろから画家を?
石川「小学校の頃から画家になりたいという気持ちは漠然とありました。でも、一人の時間をこよなく愛していたので、その中で驚いたり調べたり考えたりしてきました。その流れの中で画家への道が開けていきました。明確にいつからとは言えません。祖父が書道家だったこともあり、大小の筆を身近に見ていたことも絵を描くことに影響したと思います」
・美大への進学について
石川「銀行員だった父親は画家になることに反対でした。受験の準備も不完全なまま不合格。浪人をして武蔵美の洋画科に合格したとき、初めて父親に画家への道を認めてもらいました」
・大学では?
石川「幸運にも担任が独立美術協会の松樹路人先生で、独立展があることを知りました。2年のときに本物を見るためにスペインに行き、プラド美術館に通い、画肌の厚みを見極めてきました。将来のことなどを考えて3年になったときに独立展に出品し、初入選をはたしました。ここからですね、本気になったのは。独立展への出品は画家になれるかどうかのサイコロを振ったようなものでした」
・どんな絵を描いてきた?
石川「最初は静物画でした。室内画を経てやがて屋外にも出ました。今でも風景画を続けています。雲と海や無国籍の風景です。人だけを描くことはありません。画面のどこかに地平線か水平線があり、構図はシンプルです」
・若い人へアドバイスを。
石川「風景画はできれば現地で描いてほしい。五感をフルに働かせて描くことです。料理と一緒で目をつぶって食べると味気ないものです。五感があるからこそ味わいのある絵が描けます」
・これからのことを。
石川「まだまだ描いたことのないものが多すぎます。とにかく描き続けたいです」
・ありがとうございました。


「下地材を塗り砂ヤスリで研磨した上に描きます」
「月下独り」
 
「海風を歩む」
 
「五月の庭」