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1956年東京生まれ。中央大学文学部哲学科卒。1989年辻岡ピギーとシグマを主宰。2003年ピポン有限会社設立。商品企画やイラストなど活動は多岐。
これまで取材したプロ

机はこもって仕事をする巣穴です。

ボールペンは元々文房具としての筆記具で、文字が美しく書ければいいものでした。ところが最近ボールペンの用途や種類が広がり、今や画材としての顔を持つようになりました。デコブームに後押しされて使う若い人も増えました。デコボールペンの先駆者でもある、がなはようこさんは、幅広い描き方を開発してきました。がなはさんの自由で型にはまらない表現は大勢の人から支持されています。

・生まれは?
がなは「父は沖縄出身ですが、私は東京生まれの東京育ちです。なのであまり沖縄のことは知らないんです」
・どんな子供時代?
がなは「活動的ではなかったですね。一人で穴堀りしたり、泥まんじゅうを作ったりしていました。絵を描くのも好きでした。母が書をやっていた関係で、上野の美術館によく連れて行ってもらいました。小学校の頃は、絵がうまかったためか絵を描いて欲しいということで友達が増えました」
・それで絵の道に?
がなは「高校までは美大に行く希望を持っていましたが、将来性を考え、普通の大学に進学しました。画材を一つに絞るのが嫌だったこともありますね。絵は画材を自由に選んで描いてました」
・プロへのきっかけは?
がなは「大学を出て、生活雑貨のメーカーに就職し、タペストリーとか色々な素材のものを制作していました。その後玩具メーカーに転職し、スタンプなどを作っていました。きちんとした形で美術を学んでいない自分にとって、色の制約のある仕事に面白さを見つけたりしていました。数年後に、その会社の同僚と独立し、雑誌や雑貨の仕事に専念しました。染色などの仕事も手がけました」
・ボールペンとは?
がなは「お土産でもらったカラフルなボールペンセットで絵を描いてみたくなって始めました。私は筆圧が高いので、自分に合っていると思いました。サラサラと同じ線幅で引けるし、他に用意する画材はいらないし、色数がそれほどないから配色で迷うこともないので、おもちゃ感覚で楽しめるところに魅了されました。それからはずっと使っています」
・ボールペンのメリットは?
がなは「私の場合は、描くものが最初から強く意識されているわけではなく、行き当たりばったりで描いています。つじつまを合わせながら、制作しているといった方がいいかもしれません。自由に描くように気を付けています。ガラスにも描けるものもあり、基底材が自由というのもいいですね。描き方にルールがないというのが特徴です」
・これからのことを。
がなは「書籍に関する仕事はずっと続けていきたいです。一つの画材にこだわらずいろいろな画材を使っていきたいです」
・ありがとうございました。

 

*編集部より*
がなはようこさんのHPがあります。ご覧ください。
http://www.sigma-pig.com/

「ボールペンは思いついたことをすぐに形にできます」

「書籍掲載イラスト」