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1974年千葉県生まれ。 1996年女子美術大学デザイン科卒業。 ボルボペイントカーアワードグランプリ受賞。 シェル美術展入選。 バー&ギャラリーブラックホールの壁画など制作。
これまで取材したプロ

机は知識と知恵とイメージの溜まり場。

壁画はそそり立つ壁に描かれます。その基底材は、種々ありますが元々絵を描くためのものではありません。そこに体をぶつけて描くのには理由があります。道行く人に見てもらえる。生きる感動を伝えられる。壁画は都会というギャラリーの作品であり、しかも誰でも見ることができるものです。数少ない本格的な壁画家の一人ヒラタシノさんの作品は生命を感じさせます。苦労を感じさせない爽やかなお人柄に心が動かされました。

・まず子供の頃のことを。
ヒラタ「小学校の頃は図工と体育が好きな元気な子供でした。とにかく絵が得意というか好きだったのですが、指を筆に見立てて空に絵を描いたりしていました。人には見えない絵を描いて楽しんでいました」
・絵の道を意識したのはいつごろ?
ヒラタ「父が建築関係だったこともあって、空間やデザインに早くから興味を持っていました。高校のときには美大に照準を合わせて予備校に通いました。大学では空間デザインの勉強を主にやりました。公園や造園に関する環境設計に繋がる勉強ですね」
・就職は環境設計の仕事に?
ヒラタ「店舗設計の会社に就職が決まっていたのですが、ガンに冒され生死の淵をさまよいあきらめました。何とか回復したときに、生きることに貪欲になったといいますか、好きだった絵を本気で描こうという気が起きてきました。大学卒業後は仕事をして絵を描くという生活を送りました。絵を描きためては展示という繰り返しでした」
・壁画には?
ヒラタ「23歳のときにあるバーのトイレに絵を描かせてもらいました。これが私にとっての最初の壁画でした。この作品が広告代理店の方の目に留まり、壁画の仕事を紹介されるようになりました。結果的に空間における仕事につながったことになり、今では天職だと思っています」
・画材は?
ヒラタ「どうも油絵具とは相性が悪く、アクリルとクレヨンをメインに使っています。壁画は時間の制約があり、スピードが求められます。アクリルは速乾性ですから、早く仕上げられますからね」
・モチーフは?
ヒラタ「枯れかけた植物に水をやっていたところ蘇ったのですが、共感するところがあり、それ以来植物を多く描くようになりました。テーマは『生』なのだと思います。私の作品を見て少しでも生きることのエネルギーを感じていただけたら嬉しいです」
・これからの夢を。
ヒラタ「自分がガンを克服できたのは病院の先生のおかげです。その恩返しに病院の壁画を描きたいです。壁画は通りがかる人が誰でも見ることができます。患者の方へのエールになれば幸せです」
・ありがとうございました。

「壁画は全体的な視野が大切です。何度もバランスを確認するため後ろに下がって眺めます」

「プリズムの世界 photo by noboru aoki」
「シングル」