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1966年石川県能登生まれ。89年筑波大学芸術専門学群卒業。02-03年文化庁芸術家在外研修員(ベルギー)。個展とグループ展に出品。ホテルや病院でのアートワークでも活動。  
これまで取材したプロ

床は果てしなく広がる私の机。

抽象画は心の具象と言われています。心は感じるものですが、色と抽象形だけで表現される難解と思われている世界です。しかし、見ていて素直に心に感じられる作品も少なくありません。抽象画を身近なものにしてくれる作家さんもいるのです。平体文枝さんは、オイルスティック(固形油絵具)を自由に操り奥深い表現を生み出している作家さんです。気さくで魅力的な人柄、そのままの作品に魅せられました。

・小さい頃は?
平体「泣き虫でした。幼稚園に行くのが嫌で寝たふりをして、どうしたら行かなくて済むか考えたりして。絵を描くのは好きで、空想画のようなものをいつも描いていました。小学校に入って高学年になるとテクニックに走り、グラデーションをかけたり、ハイライトを入れたりと、いわゆる上手い絵になってしまい、子供らしさがないと評価されないこともありました。水彩絵具を使っていたのですが、チューブから出した鮮やかな色を薄めずにそのまま塗るのが好きでしたね」
・オイルスティックとの出会いは?
平体「学生の頃からです。油絵具に重ねて使い始めました。その頃は国産もあって入手しやすかったです。描く時に抵抗感のある画材が好きなんです。ドローイングを描く時なんかは、指でこすったり伸ばしたりして、指で描く絵という感じです。感覚が直に伝わるので大好きな画材です」
・卒業後のことを。
平体「養護学校の教員を6年やりました。子供たちの絵の描き方から大変刺激を受けました。みんな枠を意識せず、とてものびのびしているので。しかし作品の制作に集中したくなり、迷ったものの教員を辞めました。自分を追い込む意味もあって。その後はアルバイトをしながら制作に励みました」
・展覧会などの活動は?
平体「はじめはグループ展中心でしたが、91年に初個展を開きました。その時思いがけず大きな作品が売れ、責任のようなものを感じて、この道で頑張っていこうと覚悟を決めました」
・抽象画のことを。
平体「物が見えるのでなく、自分が見えるんです。自分のたたずまいそのものが画面に現れる。怖いですが、だからこそ面白い世界です。“絵は人なり”といつも思います」
・ベルギーへ留学されていますが。
平体「はい、この留学で自分が解放できたと言いますか、今までのことをゼロにして、心から描きたいものを描こうと開き直れました」
・今の夢は?
平体「いろんな国で作品を発表したいです」
・ありがとうございました。

 

*編集部より*
平体文枝さんのHPがあります。ご覧ください。
http://www14.plala.or.jp/hiratai/

 

 

「作品の良さは大きさじゃないですね」

 

「めまい」

 

「アカツキ」

 

「Piepke」