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1955年福岡県生まれ。78年金沢美術工芸大学美術学科彫刻専攻卒業。94年、98年現代具象彫刻展(千葉県美術館)。01年現代美術選抜展(文化庁)。自由美術協会立体部会員。  
これまで取材したプロ

机は素材を実験する空間です。

彫刻の世界は、空間に、絶対的に存在するものを作り出すものです。それは、しゃべらないものに、語らせる行為とも言えます。ただの物質に、命を与える仕事をしているのが彫刻家です。川崎文雄さんの作品にはどこか、人間的な温かみとユーモアが感じられました。見晴らしのよい横浜の高台にある作品に囲まれたご自宅を訪ねました。

・作る喜びを知ったのはいつ頃から?
川崎「子供の頃、自然に囲まれた所で生活していました。肥後守(折りたたみナイフ)を持ち歩いて、竹で弓矢を作ったり、山の水辺に鳥を捕る仕掛けを作ったりして遊んでいました。箱屋の友人の家で箱の廃材で工作に熱中していたこともありました。梱包用の板の廃材で隠れ家なども造っていました」
・芸術家を志したのは?
川崎「高校のときですね。美術室に入り浸っていました。進学校だったのですが普通に進学はしたくなかったというか、落ちこぼれでしたから、美術ぐらいしか自分に合っているものがないと思い込んだんですね。それで美大に進学しました。もともと美学・美術史学科志望ではありましたけど」
・なぜ彫刻?
川崎「中学時代に、美術の先生が夏休みに首の石膏取りを教えてくれました。このとき彫刻(立体)はいいなあと、漠然とした思いが生まれた気がします」
・東京に出て来た理由は?
川崎「九州人に特有のどこか東京を目指す気持ちがありました。当時、大学の教授が町田に住んでおられましたし、首都圏の横浜市の教員試験を受けました。彫刻で食べていくのは大変なので、とりあえず教員になろうと荷物をまとめて金沢から横浜に出て来ました」
・彫刻の醍醐味は?
川崎「立体でなければ表現できないものがあります。素材感と言いますか、たとえば石は大地を削っているようなものです。他の素材にはないものがあります。木や粘土でも同じです。なんでもない素材に、形と心を与えるところがいいですね」
・木に着彩する方法について。
川崎「私は主に陶彫というか、粘土を焼いた作品を作っています。木を使うのも好きなので、木にベンガラや緑青(ろくしょう)、黒鉛などを摺り込んだレリーフなども作ります。色はでしゃばらないように抑え気味にしています。木でしか出せない味が出てきますね」
・これからことを。
川崎「今もやっていますが、異種素材を組み合わせた作品の制作に取り組もうと思っています。彫刻の素材は、それぞれに不自由さを持っています。その不自由な素材の面白さを生かして「ひと」をテーマに作品を制作・発表していきたいと思っています」
・ありがとうございました。

 

 

「これからもレリーフ的なものを制作したいですね。木に金属を埋め込んでみたり、焼き物をはめ込んだり、錫(すず)を溶かして流し込んだりして、融合できたらと思っています」

 

「孤独なるもの」(木・陶・鉄・鉛・和紙)

 

「MASK−悠−」

 

「MASK−悠−」