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1955年秋田県横手市生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。在学中より雑誌のカットを描き始める。卒業後フリーに。1987年初個展。主な仕事は雑誌挿画、書籍装丁画、絵本。
これまで取材したプロ

机は壁や物に囲まれた閉じこもり空間。

何とも言えない懐かしさや、人の優しさなどを感じさせる絵に出会うことがあります。よく見ると、実に繊細な色出しをしていたり、マチエール(画肌)に凝っていたりするものです。すごい技をさりげなく見せるのがプロなのですね。城芽ハヤトさんは、アクリル絵具で哀愁とか、画面には描かれていない遥か彼方を表現できる画家です。城芽さんのすごさとお人柄に惹かれた取材でした。

・小さい頃は?
城芽「小さい頃のことはあまり記憶にないのです。ただ、どうもいじめっこだったらしいことは、前に参加したクラス会で友人たちから言われました」
・絵との触れ合いは?
城芽「以前実家が旅館をしていたこともあり、襖絵などがしっかり描かれていて、それを見て育ちました。絵の成績はよかったのですが、私の絵は説明的でつまらないと、親に言われていました。頭でっかちの子どもだったのだと思います」
・専門的な勉強は?
城芽「高校時代に美術部にいて油彩画を描いていました。私の育った秋田では、美術の大学といえば芸大だけというようなところがあり、芸大を目指しましたが、武蔵美に入学しました」
・アクリル絵具とはどうやって?
城芽「油彩は混色などに煩わしい制約があり、それが伸び伸び描くのを阻害するのですね。それで自由に描けるアクリル絵具にしました。楽に描ける絵具です。自分が出せるというか」
・プロへの道のりを。
城芽「大学3年の時、米軍基地のシェアハウスで生活していて、先輩からの紹介でイラストの仕事をレギュラーでやっていました。そのこともあって、卒業してそのままフリーになりイラストの仕事を続けました。当時はロットリングによるモノクロのカットの仕事がメインでした」
・アクリル絵具の作品は?
城芽「卒業して10年後、初めての個展を開催しました。この頃からアクリル絵具を積極的に使い始めました。下描きでは鉛筆の線を、消しゴムでゴシゴシ消すこともあって、キャンバスボードを使用しました。線で描いたら油を引いて、絵具を塗ると弾きます。そこで油性分を拭き取り、消しゴムでゴシゴシと取り去る、というような描き方で仕上げています」
・色はどんなものを?
城芽「私は基本的に赤青黄の3色と白黒しか使いません。この3色で混色しながら色を出していきます。これで、混色すると茶系が豊かになります。白い部分は紙の白さを残します」
・これからのことを。
城芽「今のスタンスを守りながら、2〜3年に1回個展を開催していきます。絵は好奇心から生まれて来ますが、もっと好奇心を持ってやっていきたいです」
・ありがとうございました。

 

*編集部より*
城芽ハヤトさんのHPがあります。ご覧ください。
http://www.peacecard.com/jome.html

 

「3色だけで色を出すのでグレー調になります。」

 
「Romeo & Juliet 夜明け前の別れ」
 
「ふたりきりの戦争」
 
「殿閣微涼ヲ生ズ」