backnumber  
 
 
1962年群馬県生まれ。83年桑沢デザイン研究所卒。88年イラストレーターとして独立。以後雑誌、単行本、絵本などで活躍。表紙から挿絵までを担当することが多い。  
これまで取材したプロ

私の自作の机は世界観が広がる場所。

スクラッチボードは墨が塗られている真っ黒な画面が特徴。針状のもので引っかくのがスクラッチです。引っかくと白の地が見えてきます。ペン画と似ていますが、全く逆の画の作り方で、非常に根気のいる作業です。これを自由に扱っているのが磯良一さんです。独特な画風と共鳴できる世界観が感じられます。ベテランでありながら気さくな受け答え、あの作品のステータスに納得しました。

・野山を駆けめぐった少年時代?
磯「いえいえ、私が少年時代過ごした街は群馬でも都会的なところでしたので、野山という感じではありませんでした。自転車が好きで近隣によくツーリングに出かけました。インドア的なことも好きで家の中で絵を描いたり、工作をしたりしていました」
・絵の仕事への意識はいつ頃から?
磯「小学校1、2年の頃、すでに絵を仕事にしたいと漠然と思っていました。それが根底にあって、高校を出てデザインの専門学校に行き、できるだけ早く仕事に就きたいという思いが強かったですね。専攻はグラフィックでした。通学しながら、デザインの仕事をしていました」
・イラストの仕事へは?
磯「学生のときからお世話になっていた会社にそのまま就職しました。イラストレーターとして独立を考えていましたので、まずデザインの仕事の流れを把握するためにデザイン会社が適していると思いました。その後、専属のイラストレーターとして働き、商品イラストやカンプの制作に従事していました」
・フリーになったのは?
磯「8年からです。でも、いきなりイラストだけでというのは無理なので、グラフィックの仕事と半々という感じでスタートしました。当時はまだスタイルができあがっておらず、なんでも描いていました」
・スクラッチとは?
磯「学生のときに登村ヘンリーさんの画集を見て、自分もやってみようと始めました。ただ、制作はしていたのですが、スクラッチがどのような仕事になるのか分からず、仕事になったのは独立してしばらくしてからですね。スクラッチはモノクロームの世界。色に頼らず形をしっかり作り上げるところが好きです。光と影だけで表現し、自分にとっては色はおまけのようなものですね」
・特殊な技法ですが?
磯「私自身は、それほど大変とは思っていません。他の技法と同じです。自作のニードルで、黒の画面を削っていくのですが、引き算で表現していくことの魅力を手で確かめながら制作しています」
・これからのことを。
磯「これからも、スクラッチを中心に制作していきます。技法よりも自分の世界観をどのように作るかに重点を置いています。いい世界観を作り上げたいです」
・ありがとうございました。

 

*編集部より*
磯 良一さんのHPがあります。ご覧ください。
http://www.h4.dion.ne.jp/~iso.r/

「自分の好きなスクラッチボードの輸入が終わり、これからが心配です」

 
「見知らぬ町」装画
 
「萬月な日々」挿し絵
 
「見知らぬ町」挿し絵