<水彩色鉛筆>  
 
 

水彩色鉛筆は微妙に硬い。

水彩は滑らかな発色が特徴。

水彩色鉛筆は水彩画も描ける画材である。では水彩絵具と比較して、その実力はどんなものなのかを明らかにしてみよう。元々は同じ顔料なので発色は基本的に同じである。何が異なるかといえば、顔料と混ぜているものである。色鉛筆は固形化するために水溶性のワックス成分を混ぜている。水彩絵具には水に溶けるメディウムが混ぜられている。つまり混ぜられているものの透明度が発色に影響している。鉛筆の方が発色が少し鈍いのはそのためである。

 
 

複数の色を先を尖らせ重ねて塗る。

重ね塗りした部分を水で混ぜる。

固形画材による混色はどれもそれほど簡単ではない。色鉛筆も同様である。しかし、水彩色鉛筆は水彩としての性質を持っているので混色はしやすい。水を使わない混色は、色を薄く重ねていく重ね塗りがメイン。この混色で気を付けるのは鉛筆の先を尖らせておくことである。先が細ければ細いほど滑らかな混色ができる。水を使う混色でも色鉛筆の重ね塗りが基本となる。色を重ね塗りしてから水を付けた筆で混色を行う。色味が足りない場合は加筆する。

   
  <アクリル絵具転写編>  
 
 

数回ジェッソを塗り重ねる。

乾燥後グロスメディウムを塗る。

石などに自分で撮った写真などを転写するのにアクリル系のメディウムが適している。石などへの転写で気を付けることは、石の地色が邪魔をして色がきれいに発色しないことだ。そこで、転写したい場所にジェッソを塗っておくと発色が良くなる。ジェッソを塗るメリットはもう一つある。石などの表面は決して滑らかでない。転写にはコピーを貼り付けるので、表面はできるだけ滑らかな方が良い。ジェッソを塗ることで滑らかさが増す。ジェッソは数回塗り重ね、ムラを無くすと仕上がりもきれいになる。

 
 

凹凸の布にはジェッソを塗り転写。

グロスメディウムを塗れば形も明快。

布に転写する場合は布の素材に注意する。布の目が密で滑らかなものほど転写しやすい。タオル地やしわしわなものは、転写しづらいので避ける。また色物よりも白、もしくはそれに近い色の方が発色が良くなる。どうしても凹凸のある布に転写するときは転写したい部分にジェッソを塗ると良い。色物の布のときも同様にジェッソを塗る。Tシャツのような布は伸び縮みするがそのまま転写できる。仕上げにグロスメディウムを塗れば、洗濯してもほとんど落ちない。

   
  <不透明水彩編>  
 
 

水道は勢いがあるので流しやすい。

水差しは部分的に色を流せる。

塗った絵具を水で洗い流すことをウォッシングと呼んでいる。乾燥後も水溶性のままの絵具は、水をかけると溶けだす。一見デメリットのように思えるが、この性質が乾燥してからの加工を可能にしてくれるメリットでもある。基本は文字通り水で洗うことである。水道の蛇口の下で水を流しながら筆や手で洗う。水差しで水をつけて色を拭い取ってもよい。絵具の流れ方は基底材によって異なる。吸湿性の悪いケント紙類では絵具がよく流れるので逆に加減しながら流すことが大切である。

 
 

筆に水を付け着彩部分に付ける。

スポンジやティッシュで拭き取る。

絵具は塗るだけでなくそこにある色を抜くことで新たな表現を生むことができる。色を抜く方法には、絵具を溶かして拭き取るという方法や削り取るという方法もある。マスキングも色抜きであり、砂消しで消すのも同じである。少し強引だが、アクリル絵具などは水道でタワシでこすり取る方法もある。色を抜くことは着彩のような足し算とは異なり色をとるという引き算である。はみ出たところを修正したり描き過ぎたところを調整したりするのに役立つ。

   
  <パステル鉛筆編>  
 
 

パステルで面を塗る。

パステル鉛筆で線を描き込む。

パステルとパステル鉛筆は同じ仲間。パステル鉛筆はソフトパステルとハードパステルの中間と思っていい。鉛筆なので削ることによって芯が顔を出す。柔らかすぎれば折れやすくなる。硬すぎれば線も硬くなる。そういう意味でパステルとパステル鉛筆の相性は極めてよい。パステルで全体を描き、細部や線はパステル鉛筆で描いても違和感はない。髪の毛やまゆげやまつげはパステル鉛筆が適している。パステル画で紙の目や隙間が気になるときはパステル鉛筆で埋められる。

 
 

パステルフィキサは品質が高い。

定着すると重ね塗りができる。

パステルのリスクといえば粉末の顔料であるがゆえにこすると落ちてしまうことだ。どのように色を定着させるかは最も悩むところである。往々にして着彩後に定着用のフィキサチーフを吹きつけると発色が落ち、暗くなって見える。これがいやで吹きつけをしない人も多い。変色することが当然として少し明るめに仕上げフィキサチーフをかける以外に手はない。ただし、このフィキサチーフはパステル専用のものを選ぶことが条件である。また、重ね塗りにも役立つ。

   
  <ペン画編>  
 
 

ピグマFINEは筆圧で線幅が変わる。

筆の筆跡に近いペン字が書ける。。

ペンで人気のあるピグマペンは、本来製図ペンとして開発された。製図には一定の線幅が要求されるため線幅ごとに市販されている。マンガなどの作画にも使われるようになり、各種の用途を持つペンがさらに開発されてきた。ペン字は一般的にGペンといわれるインクを付けながら書くペンが用いられる。Gペンは筆圧によって線幅を変えることができる。筆の筆跡に近い表現ができる。ピグマFINEはペン字を書くのに適したペン先を持っている。線幅に変化を与えられる。

 
 

油性ペンは滑らかに描ける。

どんな形態にも描けるのが特徴。

製図ペンはほぼ水性インクが使われている。水性でも乾燥後に耐水性になるものが多い。水性インクは主に紙に描く。描画では基底材を問わず使える画材が求められる。例えばガラスや金属、プラスチックにもペン画をやりたいという人は多い。表面がツルツルした基底材に使えるのが油性ペンである。マイクロパームは油性インクのため、ほぼどんなものにも描くことが出来る。黒の他に青と赤もあるので、ペン画には最適である。耐水性なので水に強いのもメリットである。

   
  <油絵具編>  
 
 

ホビークラフト用はサイズが豊富。

油絵ではザックリとした雰囲気を出すときに刷毛を使う。筆のように毛の材質が細やかではないが、種々の表現ができる。また、油絵専用の刷毛でなくても使用できるので描く内容によって使い分けるといい。刷毛にはホビークラフト用、塗装用、接着剤用などの種類がある。最近の刷毛は天然の毛を用いないものもある。さび落とし用の鉄製の刷毛も画面の引っかきを行うのに使える。刷毛は比較的に安価なので多種揃えると便利である。歯ブラシなども同様に使える。

 
 

メディウムを混ぜながら塗る。

薄く重ねると滑らかになる。

油絵におけるグレイジングは本来、透明感のある滑らかな塗りを行うことを指している。タッチを残さず、つるりとした材質感や光沢が出るのが特長である。グラッシ技法ともいい、中世から行われている。色を薄く塗り重ねてもできるが、グレイジングメディウムを使うと誰にでも滑らかで透明感のある表現が楽しめる。仕上げてからメディウムを塗ってもグレイジングはできる。滑らかでムラのなく、潤った感じのする表現はいつになっても魅力的です。

   
  <ソリッドマーカー編>  
 
 

ソリッドは油絵風に簡単に塗れる。

クレパスは厚みのカスレが魅力。

固形絵具はクレパスのようなオイルパステルと呼ばれるものやクレヨンのようなワックスタイプやパステルのような粉末タイプがある。いずれも、水や筆を用意する必要はなく、描きたいときにすぐに描けるというメリットがある。手や衣類を汚すことも少ないのも魅力の一つである。ソリッドマーカーはこれまでの画材にはなかった塗った瞬間にゲル状になるという特長がある。こうしたものが持つ魅力は油絵風の作品を油絵具を使わずに描けるところにある。

 
 

筆圧を上げると滑らかな平塗りに。

乾燥する前に色を乗せて混色する。

水彩絵具や油絵具の様に簡単に混色できるものは、無限に色の幅を広げることができる。いかに混色するかが重要な技法となっている。どのような固形絵具もその混色が難しい。しかしできないわけではない。クレヨンや色鉛筆なら重ね塗り。クレパスなら溶き油や擦り込みによって混色ができる。ソリッドマーカーには独特の混色技法がある。下塗りした色が乾かないうちに、次の色を重ねると混色が可能になる。乾燥する前なら、複数の色を混色することもできる。

   
  <メディウム編>  
 
 

メディウムは筆で延ばせる。

紙類は簡単に貼れる

アクリル絵具で用いられているメディウムは元々は接着剤である。顔料を基底材に接着させる力を利用して絵具は作られている。メディウムには光沢を出すグロスメディウムと光沢を消すマットメディウムがある。その接着力はコラージュなどに大きな力を発揮する。コラージュといえば印刷物を貼ることで知られているが、それ以外でも多くの素材を貼り付けることができる。繊維、皮革、木材、プラスチック、金属などを基底材に接着し一味違った表現にすることができる。

 
 

メディウムを混ぜて薄く延ばす。

重ね塗りでは下の色が見える。

メディウムの多くは乳白色をしている。乾燥すると透明になる。透明にならなければ顔料の持つ発色に支障をきたす。当たり前のことだが、良質のメディウムは完全な透明になる。これを利用して、基底材に絵具以外の素材を貼り付ける際に、その素材の色を生かしたい時に応用できる。一般的には、素材を貼り付けたら絵具の乗りをよくするためにジェッソを塗るが、素材を生かすときはそのまま着彩する。透明感を生かしてステンドグラスのような透かして見る表現にも最適である。

   
  <スクラッチ編>  
 
 

クレパスによる引っかき。

プラスチック板でもできる。

スクラッチは針(ニードル)で画面の表面を覆っている皮膜をひっかいてはがすことが基本である。当然のことながら、ひっかけば下地の色が見える。これを利用して、表現を行なう。スクラッチの面白さは、このひっかきの軌跡にある。ペン画でもなく、エッチングでもない独特な雰囲気がある。ひっかく行為は子供にも簡単にできるため、クレパスを使っての作品制作が行なわれている。したがって体験した人も多いはず。ひっかき方は多く存在しているため、奥が深い技法といえる。

 
 

ニードルは鋭利な線が引ける。

ヘラ状のものは幅広く削れる。

ひっかくためには道具が必要である。最も典型的なのはニードル。先が鋭くとがっているものはほぼどんなものでも使える。金属製のものや木製のものまで、その雰囲気によって使い分ける。エッチングの道具で先がヘラ上になっているものがあるが、幅広いひっかきをするときに便利だ。金タワシは全体にざっくりした効果が欲しいときに使える。細かい細工までこなせる紙やすりも便利である。クシ状(フォークとか)のものは平行ハッチを入れるのに適している。

   
  <固形水彩 早描き編>  
 
 

消失点にすべての線を合わせる。

水平と垂直をしっかり描く。

旅は移動に時間がとられるものである。時間がないからといって絵を描かないのは旅の思い出を薄めさせもったいない。そんなとき早描きを練習しておくとよい。描き上げる時間を決めて、手早く描くことが上達のコツである。ハガキサイズなら5分で描くように心がける。町並みを描くときは、基本的な透視図法が役立つ。特に一点透視は消失点が1つなのでやりやすい。消失点を決め、そこに水平、垂直以外の線は、そこに合わせる。これに近いのが遠近法で手前を大きく描く方法がある。

 
 

水が切れないので色が広がる。

細い線も筆先でしっかり引ける。

屋外用の筆としてナイロン筆の水筆はいまや定番となっている。水がホルダーに入れられるので、水を用意する必要はない。固形水彩にはうってつけの筆である。プチカラーセットのように最初から組み込まれているものもある。ナイロン筆なので、癖がつきづらく、もし癖がついたとしても、熱湯をかければ元に戻る。筆先は常にしっかりまとまっているので、細い線も引きやすい。着彩後はティッシュで絵具を拭き取る。サイズは3種(大中小)あるが、最低、大が一本あれば便利だ。

   
  <パステル編>  
 
 

強く塗り込み軽くフィキサを掛ける。

定着すると重ね塗りがしやすい。

パステルの醍醐味はなんといっても重ね塗りによる厚塗りである。しかし、パステルは元々粘着性がないため、色が簡単に落ちるので重ね塗りが難しい。定着すれば厚塗りが可能になる。定着させるには専用のパステルフィキサが必要になる。パステルは粉末の状態で顔料としてストレートに発色するので、色味が美しい。そこにフィキサを掛けると発色を妨げる結果になるのでパステル専用のフィキサを使うことになる。厚塗りのコツはいかにフィキサを使いこなすかである。

 
 

メディウムの利用に必要な画材。

粉末にしメディウムを混ぜる。

パステルにアクリル絵具用のメディウムを使うという発想はほとんどなかった。ところがこの組み合わせは表現の幅を広げるキーを握っているといえる。ここでのメディウムはマットメディウムである。無光沢な発色がパステルの発色と融合しやすくできている。パステルを溶き皿にカッターで振りかけで粉末にする。そこにマットメディウムを少量加え水で溶き、筆で着彩する。乾燥すると無光沢の発色が得られる。このままではなじみが悪いので似ている色をその上に指で軽く擦り込む。

   
  <油性色鉛筆編>  
 
 

先端を尖らし平均的な筆圧で塗る。

色鉛筆のべた塗りは独特の味がある。

色鉛筆はべた塗り(平らに塗ること)が難しい画材である。ムラなく滑らかに着彩するためには3つのことを守ると可能になる。1つ目は色鉛筆の先を常に尖らせることである。先が尖っていると滑らかに塗れる。2つ目は平均的な筆圧で塗り込むことである。いきなり強くしたりすると線が残る。3つ目は凹凸のないBBケントのような紙を選ぶことである。目の細かい紙は色が入り込めるので滑らかに塗れる。色鉛筆のべた塗りはプロ的に見えるのが特徴である。

 
 

鉛筆を15度くらい寝かして塗る。

滑らかなグラデーションでぼかす。

べた塗りとは対称的なのがボカシである。ボカシには指やティッシュでこすって色を薄く広げる方法とソフトに着彩を行う方法がある。身につけると便利なのがソフトに塗る方法である。BBケントのような紙の目の細かい硬めの紙を使用する。先を尖らし15度くらいの角度を付けて均一に塗る。紙の面をなぜるように軽いタッチで塗るのがポイントである。雲のような雰囲気を作りたい時とか、輪郭をぼかして浮きでるようなイメージにしたいときに適している。

   
  <アクリルガッシュ編>  
 
 

金属(アルミホイル)にも描ける。

プラスチックは表現が広がる。

アクリル系の絵具の強みは使える基底材が幅広いことだ。これに関する記事はTCでも度々取り上げてきた。しかし、チャレンジする人はそれほど多くないのが事実。絵は紙に描くものという既成概念はかなり強い。これではアクリル絵具の強みを楽しむこともできない。とりあえずどんなものにでも塗ってみると、意外に自分に合った基底材を見つけることができたりする。金属やプラスチック、布や木材など、描く楽しみを広げてくれるのは基底材である。

 
 

どんな形にも塗れるのがメリット。




映像の世界では3DCGが大はやりだが、リアルで3Dを味わえるのは立体イラストである。立体イラストで使用される素材は数々存在するが、いずれのものにでも活躍するのがアクリル系の絵具だ。立体への着彩のしやすさと発色の良さは抜群である。特にアクリルガッシュは、無光沢なので照明を用いた表現のときには最適である。また、紙素材や紙粘土のように表面が傷つきやすかったり、壊れやすいものには、表面の強度を増強するので耐久性もある。立体イラストは模型としての魅力もあるが、写真に撮ってイラストとして応用できる。見る角度や照明によっても表情を変えるので楽しい技法である。

   
  <油絵編>  
 
 

ボールサインスフレの筆跡。

エスピエデコレーションペン。

元々ボールペンは油性のインクを紙に付けていくものであった。インクは染料(イオン)のため紙に染み込んで厚みはない。しかし、最近では、インクが改良され、ゲル状のものが開発され、乾燥後指で触れると盛り上がっているのが分かるものも市販されるようになった。ボールサインスフレなどもその仲間である。ボールペンではないがエスピエデコレーションペンやデコレーゼは厚みがある。これらを複合するとまるで油絵の盛り上がり技法のようになる。

 
 

スタンダードカラーは線で埋める。

アクアリップは平塗りができる。

ボールペンは言うまでもなく線描の画材。これまでのペン画技法は線(ハッチ)による描画が中心だった。ハッチの入れ方を工夫することで多様な表現を獲得してきた。ペン画の魅力もそこにあった。ところがペンのインクの革命により、単なる線描の画材ではなくなった。面的な表現をする場合、線を密に入れてきたが、紙の白地が細く見えていた。サクラクレパスのボールサインの中には、平塗り(隙間なくフラットな塗り)ができるものが含まれている。

   
  <油絵編>  
 
 

ケント紙も加工がいろいろできる。

厚紙などにはナイフも有効。

油絵の基底材は麻布とか下地剤が塗られたボードが一般的である。実際には板やガラス、コンクリートなどにも描かれている。アメリカなどでは、イラストの一表現として速描があり、その基底材にマーカー用のパッド紙が用いられている。紙に描く際のポイントは吸収性である。紙は油を水と同様、吸い込んでしまう。吸い込まれれば色の延びが悪くなる。逆にそれを利用して表現の味を深めることもできる。紙という材質が持っている面白さは布のキャンバス以上とも言えるのである。

 
 

スポンジは着彩に便利。

ティッシュはカスレ効果。

紙に油絵を描くには道具が必要である。紙に描くための画材は筆がメインではなく、ティッシュや布などが用いられている。また、直接指や手で描くことは毒性などの問題から避けられているが、速描では手を使うこともしばしば見られる。筆以外の画材で描くと独特の雰囲気が出てくる。使用するものの性質によって、色の広がりが全く異なる。このほかに使用できるものは、歯ブラシ、刷毛、枯れ葉、わらなどがある。使えるものはなんでも使うのが速描のコツである。

   
  <クレパス編>  
 
 

紙に塗ると滑らかな筆跡となる。

下地を使うと直接反映される。

日本ではクレパスは子ども用と思っている人が多い。しかし、ヨーロッパではオイルパステルと呼ばれ画家たちが盛んに使っている。使われる理由は簡単である。勢いが表現できるからだ。ちまちまと色を塗りたくない、そんな人にとっては最適な画材である。ざっくりと力強く塗れば、そのままの跡が残る。それがインパクトとなる。紙に塗る場合とジェッソ等の下地の上に塗った場合で、雰囲気が大きく異なる。基底材の影響を直接受けるのもクレパスの特徴の一つである。

 
 

布にはソフトだがしっかり描ける。

ウレタンでは淡い感じに描ける。

クレパスはほぼどんな基底材にも使える。塗りづらいのはつるつるした表面を持つ材料である。クレパスは基底材の材質に影響を受けやすい画材である。ということは基底材を選ぶことで異なる表現が可能であるということだ。普通の画材では布に直接塗るには、にじんだりするのでそれなりの加工が必要だが、クレパスはそのまま使える。紙、布、板、マットと金属面などが使いやすい。それぞれの基底材の味を生かすことができるのがクレパスである。

   
  <紙粘土編>  
 
 

指で押しながら形を作る。

複数のパーツをつないでいく。

 紙粘土は扱いやすい材料であるが、細かい成型は難しい。繊維質の構成物質がシャープな成型を妨げているからだ。ヘラで形を整えたり、カッターで切ったり削ったりがしづらい。逆に滑らかなゆったりとして成型には最適である。指で押しながら広げたり曲げたりする。いくつかのパーツを作りそれをくっつけながら組み立てていくことで大きな形にしていくことができる。彫刻やペーパー掛けができないので、粘土を細くしてくっつけることで細部を表現する。

 
 

水で接着部分を溶かして付ける。

乾燥後は木工用ボンドが有効。

 紙粘土はくっつけても簡単にはがれる。それを補うのが接着である。圧力で付ける方法が一般的である。これは粘土をくっつけるときに指で付ける方の接着部分をなすり付けるように広げる方法である。くっつける際に筆で水をつけ接着部分を溶かしてから付けると着きやすい。このやり方はある程度乾燥してからでも有効である。乾燥してからは、木工用ボンドが使える。また針金や楊枝などを差し込んで付けることもできる。差し込む際にボンドを付けると強力に接着できる。

   
  <立体イラスト編>  
 
 

折り紙で作った紅葉。

写真にして文字を乗せて使う。

 イラストを立体的に作る手法は1970年代にアメリカで流行した。使用する素材は紙だけでなく、木や布、金属など幅広い。使い方は、写真撮影し雑誌や本などのイラストとすることが多かった。つまり、立体そのままではなく、印刷原稿にするため写真にして使用する必要があった。壁などのレリーフとは異なりイラストである以上は、平面にすることが基本である。撮影できるものであればどんなものでも可能であり、それだけ自由に制作できるというメリットがある。

 
 

材料の性質がイメージに影響する。

 立体イラストは最終的に撮影したものを原稿とするため、材料はどんなものでもよい。天然素材から人工素材まで、つかえるものはなんても使うという精神が貫けるのが立体イラストのメリットである。素材によって名称が付けられているものもある。紙によるものはペーパーイラスト、粘土によるものをクレイイラストなどの名がある。材料は作りたいもののイメージによって決める場合と、一つの材料を限定して制作することがある。いずれにしても材料を知っていることが基本である。

   
  <水彩色鉛筆編>  
 
 

左が水性、右が油性。

水を流すと水性は色が薄くなる。

 水彩色鉛筆は、顔料を固める成分と界面活性剤(水を加えると溶ける材質)が混ぜ合わされている。界面活性剤の量が少ないと、着彩したときの痕跡が残る。これを硬質水彩色鉛筆という。逆に顔料を多くし界面活性剤を多くすると、着彩した跡が残らないものになる。これを軟質水彩色鉛筆という。界面活性剤は油性分であっても水で溶かすことができるので、油絵具に混ぜると水で溶かして着彩することができる。マヨネーズは油に卵の黄身を混ぜて作るが、油であるのに水で溶けるのと同じ原理である。

 
 

丸みのある芯を立てて塗る。

鉛筆を倒して腹で塗る。

 水彩色鉛筆は時には水彩、時には色鉛筆として機能する。水彩として使うときには、筆跡を残さないため丸みの芯で着彩する。芯を尖らせればシャープで緻密な着彩が可能であると同時に筆跡を残した水彩画を描ける。鉛筆は芯の先端で塗るというのが原則ではあるが、そうでない塗り方もある。芯には先端と腹があるが、腹で塗ることもできる。鉛筆を倒して塗るとパステルのようなソフトな発色が得られる。さらにこうして塗った時はティッシュなどでぼかすこともできる。

   
  <コラージュ編>  
 
 

印刷物に水を含ませる。

ジェルメディウムを筆で伸ばす。

 コラージュでは主に印刷物が多く用いられる。印刷物は紙なので基底材との接着には糊のような接着剤が用いられる。普通の糊や木工用ボンドでもいいが、加筆や水研ぎを考えるとメディウムを使用するのが適している。コラージュに使用できるメディウムはジェルメディウム、グロスメディウムなどがある。グロスメディウムにはヘビーやエクストラヘビーという更に強力なものも使える。印刷物は貼る前に水を含ませておくと、乾燥後ピンと張ってくれる。

 
 

水を付け金タワシでこする。

かすれたコラージュ効果が出る。

 コラージュは貼り合わせていくのが基本であるが、貼り合わせたものを削ったり研いだりすることで、印刷物の雰囲気を一変させてしまう。印刷物をそのまま貼ると著作権に抵触する場合がある。多くの場合は芸術作品ということで黙認されている。ただしキャラクターや人物の使用には許諾が必要になることがある。こうしたことを踏まえて、目立たないように加工する。貼ったものを金タワシでこすったり、紙やすりで研いだりする。あくまでも印刷物を部分素材として扱う。

   
  <ペン画編>  
 
 

ナイフで先を縦に裂いていく。

線幅が安定したハッチが引ける。

 ペンは硬質な材質のものが多い。中にはフェルトペン(マーカーなど)のようなソフトな感じを与えるものもある。竹を削って作った竹ペンは線幅が一定しないユニークなハッチが引ける。自作のペンで最も簡単にできて独特の線が引けるのが、割り箸で作るものだ。割り箸は身近にあるので、誰でも手に入れやすい。作り方はカッターで先を細かく裂いて作る。筆に近い線が引け、先を削れば細い線になる。筆では出せない安定した線幅を保つハッチは使い道が多い。

 
 

線幅ごとに作られている製図ペン。

太くなると柔らかさが強まる。

 ペンの種類を大別すると万年筆や付けペンのように筆圧で線幅が変化するものと、製図ペンやマーカーなどのように線幅が一定のものに分けられる。ペン先の材質や形状でペンの名称が付けられている。材質によってネーミングされたものにボールペン、ニードルペン(製図ペン)、フェルトペン、ガラスペンなどがある。そしてこれらのペンの線幅は一定のものが多く、線幅ごとにペンが作られている。太い線のものは繊維質のもので作られているので、やさしい感じの線が引ける。

   
  <アクリルガッシュ盛り上げ編>  
 
 

ティッシュを台紙に軽く貼る。

乾燥したらジェッソで固める。

 ティッシュは種々の異なる盛り上げができる素材である。特にしわをうまく利用した盛り上げは他の素材ではなかなかできない。ティッシュを使った盛り上げのポピュラーな方法は、薄めた木工用ボンドを台紙に筆で全面に塗り、ティッシュを貼るものである。ティッシュは2枚重ねなので2枚ともボンドを染み込ませるのが基本。貼り付ける時、丸筆を使うとしわの入れ方をコントロールすることができる。乾燥したら、ジェッソを塗り、形状を固定し着彩を可能にする。

 
 

綿を丸め切断しボンドで貼る。

綿にジェッソを塗り付ける。

 綿は弾力性があり、一見盛り上げ材としては適さないと思われがちだが、意外に面白い効果が得られる。綿は繊維の塊であり、自分の思ったような形になかなかならない。細く縒(よ)りをかけるか、丸めて使う。縒りをかけたものは線状になる。丸めたものはそのままではボールのような球体になり、扱いづらいので、ハサミで切ってお碗のような半球にして台紙に木工用ボンドで貼り付ける。ここにジェッソを軽く叩くように塗り付ける。スポンジのような穴の開いた盛り上げになる。

   
  <透明水彩編>  
 
 




流すと絵が浮かび上がる。

  透明水彩は一度描いたものを、水で流してしまうことができる。せっかく描いたのにと思われるが、色味が浅くなり、着彩だけでは表現できない効果が得られる。実はウォッシングにはいくつかの方法が存在している。その一つに、少し濃いめに着彩し(写真上)、その上から暗い色を画面全体に塗る(写真中)。乾燥したら水道で洗うと、先に描いた絵が浮かび上がってくる(写真下)。このウォッシングでは、細部まで背景色(基調色)を塗り込むことができる。水道では一瞬にして色が流れるので注意する。

 
 




白い和紙が古ぼけて見える。

 和紙はにじみ止めをしなければ、塗った色がにじむ。このにじみが、水墨画の特徴にもなっている。和紙は半紙などでもいい。にじみを利用すると古風な表現もできる。少し硬めの和紙では種々の細工ができる。透明水彩で魚を描く(写真上)。乾燥してからティッシュに茶系の色を染み込ませ画面を叩くように着彩する(写真中)。乾燥すると色味が明るくなり古い感じになる(写真下)。ここで使用する茶色はコーヒーや紅茶、緑茶でもよい。あらかじめ容器にコーヒーを薄めて入れておき着彩した和紙を漬け込んでもいい。

   
  <油絵編>  
 
 

カンディンスキー

コンポジション[(1923)

 絵は元々、物を再現することから始まった。つまり写実であり、それは具象画である。その習慣から人は絵を見るとそこに何が描かれているかをまず考える。1900年代の初頭、ロシアはモスクワ生まれのワシリー・カンディンスキーが絵を分析し、点、線、面(形)から構成されていることを知った。それによって感情を表現できると結論し、美術史上初めての抽象画を描いた。感情は目に見えないが、点線面によって表現することで、心の具象でもある。カンディンスキーは画家であったがバウハウスの教育でも力を発揮した。

 
 

平筆で描く曲線は女性的だ。

丸筆で鋭く描く直線は男性的だ。

 抽象画ではもちろん具象物は描かないので、それに代わるものを材料として使うことになる。カンディンスキーが提唱した点線面は、その材料である。点は位置、線は動き、面は広がりを表現するのに使われる。それらは描き方で微妙な感情を表現することができる。例えば、線は直線と曲線では同じ動きを表現しているが、性質が全く異なる。直線は男性的であり曲線は女性的であると言われている。点線面以外に、色や空間といったものを材料として使うことができる。

   
  <パステル鉛筆編>  
 
 

パステルは面塗りの画材。

パステル鉛筆を細部に使う。

 パステルは滑らかな面を描き出すための画材である。色が滑らかに延びるのでその柔らかな感じが好まれる理由になっている。ところがパステル自身はスティック型になっているので、細い線を描くのが難しい。細密よりはソフトなムードを表現する画材と言える。決して細密に描けないわけではないが、高度なテクニックが必要となる。パステル鉛筆は細い線が引けるので、髪の毛や細部の描き込みには最適である。パステルで描けない部分をパステル鉛筆を使えば細密画が描ける。

 
 

市販の安い削り器も十分使える。

電動は芯をも削り落とす(右)。

 鉛筆の削り方で、まず基本となるのはカッターナイフで削ることである。これは普通の鉛筆では今でも普通に行われている。しかし、色鉛筆やパステル鉛筆では削り方で、芯を折ったり削り落としてしまったりすることが度々起こる。電動のものを使うのを極力避け、自分で回して使う削り器を使う。削り器にも数種あるが、先端が浅く削れるものを選ぶ。深く削れるものは芯をも無駄に削り落とすので注意が必要である。芯が丸みを持つとシャープさがなくなり色ムラの原因にもなる。

   
  <アクリル絵具編>  
 
 

絵具に混ぜて塗れば盛り上がる。

切った紙を貼ることができる。

  アクリル絵具には表現の幅を広げる各種のメディウムが用意されている。メディウムがあるからアクリルはどんな人からも好かれる画材なのである。このメディウムはいわば接着剤の役割とつやを出すための役割を持っている。絵具に混ぜることで色の付きが良くなり、油絵のような光沢が出てくる。接着力を生かして紙を貼っていくコラージュにも使える。ジェルメディウムの使い方によっては盛り上げ技法もできる。アクリル画をやるときは必須の溶剤といえる。

 
 

グロスメディウムを混ぜて貼る。

乾燥後ジェッソを全面に薄く塗る。

  アクリル絵具の特徴はどんなものにでも塗れるというところにある。ガラスや板、コンクリートなどにも描ける。ということで粘土の着彩などにもよく使われ、クレイアニメやクレイドールに応用されている。アクリルでの盛り上げ技法にもしばしば紙粘土が使われるのは、自分の意のままに盛り上げられるからである。紙粘土を使用する場合の台紙は厚紙、ボード、板などが適している。乾燥すると反るのでそれを考慮することが必要である。

   
  <鉛筆編>  
 
 

JIS 規格では全部で17種類ある。

 鉛筆には濃いのと薄いのがあることは誰でも知っている。その濃さとは何なのか、というと分からない人が多くなる。鉛筆は黒鉛と粘土の比率で濃さが決まってくる。黒鉛が多いほど濃くなる。濃さの段階をJISでは17段階に決めている。濃さの最大値が6Bになっているが、実際には9Bというのも市販されている。ほとんど使用しない。鉛筆に使われる記号はHFBの3種。もちろんBが濃い。

 
 

顔料を練って固めたものがパステル。

 気になるのが鉛筆の鉛である。今でこそ黒鉛の鉛だと思うのが当たり前のようになっているが、実際は少し違う。鉛筆は、日本では最初(明治時代)は「木筆」などと呼ばれていた。元々は鉛などを棒状にし、板で挟んで書いていた。それがイギリスで黒鉛の鉱石を発掘し、棒状に切断して木に挟んだものを生産し始めた。しかし、黒鉛の鉱石はそれほど大量にはなく、すぐ底をついてしまった。ドイツで黒鉛を粉末にし粘土と混ぜて焼成する方法が発明され、現在の鉛筆になった。「pencil」は全くpenとは関係ない。語源は、ラテン語の「尾」(penis)に縮小辞のついた形、penicillus(ペニキッルス)から来ている。 

   
  <パステル編>  
 
 

基底材に直接塗る。

指で色をこすりつけて塗る。

 画材には大別すると絵具のように筆で塗るタイプのものと、指などで塗り付けるタイプの2種類ある。筆で塗るのは画面と手の間に筆があることになり、間接的になる。パステルは紙に塗ったり、指で延ばしながら塗り付ける直接的なもの。パステルには糊の成分がないのでなすり付けなければ着彩ができない。パステルが好きな人は、直接的な着彩なので自分が色をコントロールしている気分になれるのがいい、という理由を上げている。塗り付けることで手応えが感じられる。

 
 

顔料は土や岩石などの粉末である。

顔料を練って固めたものがパステル。

 pastelはpaste(粉末を練って作るもの)とel(接尾語で小さいと少ないの意味がある)からできている。食べもののペーストとは同じ意味である。色は土や岩石を粉末にしたものを使うことが多い。変色する率が低いからだ。この粉末に、糊(メディウム)を混ぜたものが絵具である。粉末にして糊を使わず固めたものがパステルである。日本では意味が伝わってこないが、ヨーロッパでは意味が分かっていて使っている。別の意味に陶器の練り土があるが、いずれも語源は一緒である。 

   
  <ソリッドマーカー編>  
 
 

プラスチックなどにも描ける。

アクリル絵具との併用も可能。

 ソリッドマーカーは、ほぼどんな基底材にも描けるように開発された画材である。特にガラスのようなつるつるの画面にでも描けるのが特徴である。開発の目的は貨物などに行き先や荷物のナンバーを記入したりするための筆記具である。外で風雨にさらされても、流れたりはがれたりすることがない画材なのである。しっかり描けて、耐水性であるところがソリッドマーカーの良いところなのである。プラスチックに絵が描ける画材として、絵画にも使われるようになった。

 
 

暗い色の上に明るい色を塗る。

下の色が乾く前に色を重ねる。

 ソリッドマーカーは不思議な画材で、基底材とこすりあうと溶けて油絵具のような滑らかな着彩が可能になる。かつて固形油絵具が国産でも製造されていたが、すでに中止に追い込まれてしまった。ソリッドマーカーの苦手とするところは、混色である。混色の方法には2種類ある。初めに明度の低い色を塗り、その上に明度の高い色で薄く塗ると下の色が透けて混色のように見える。もう一つの方法は、下の色が乾いていない状態のときに次の色をスピードを上げて塗ると、混色される。 

   
  <固形水彩編>  
 
 

水溶性のマスキングフィルム。

とげの部分をマスキングした。

 モチーフの形を背景から明快に浮き上がらせるためにマスキングという手法がある。これにはシート、テープなどの素材の他、インク状のものもある。水彩画に最適なのは薄くても、細くても塗れるもの。一般的に細い丸筆で塗るが、塗っているうちにどんどん固まって膨らんでくる。この時に水溶性のインクであれば拭き取れる。『ターレンス リキッド マスキング フィルム』は塗りやすさ、剥がしやすさで申し分ない性質になっている。時には少し薄めて使える。文句なしにオススメできる。

 
 

天然の樹脂、アラビアゴムの塊。

顔料と基底材を接着させる。

 固形水彩絵具は、水で溶かすことができる。このなんでもない性質は自然と人間の知恵によって築き上げられた。絵具には色の素になる顔料とそれを基底材に接着するメディウムからできている。固形水彩では、乾燥して固めるが、水で溶けるメディウムが用いられている。成分はアラビアゴムやデキストリンなどである。アラビアゴムはアカシアの樹脂で接着効果が高い。かつては切手の裏側に塗布されていた。デキストリンはでんぷんで接着効果を高めるために入っている。 

   
  <クレパス編>  
 
 

ケント紙は切るのも簡単。

黒ラシャは塗る場所がよく見える。

 クレパスではほとんどマスキングという技法は行われていないが、ここで使用するマスキング材にはいくつかの注意が必要である。まず、できるだけ薄いものがいい。厚いとその縁に色がたまる傾向があるからだ。もう一つは、強度があるものが良い。塗るときに他の画材以上に圧力がかかるので、弱い材質だと破ける可能性がある。こうした点から、適しているのはケント紙や厚口トレペである。着彩場所が明確に分かる黒のラシャも使いやすい。

 
 

紙の裏に軽く吹き付ける。

弱粘着性なので簡単に剥がせる。

 マスキングではマスクとなる紙などを手で抑えながら、着彩を進める。この方法は簡単で効果的であるが、着彩の最中に紙が動くことがある。これを避けるためにはマスクとなる紙を仮止めすることになる。仮止めとは、一度貼ってまた剥がせる止め方のことである。仮止めに使用できるのは専用のマスキングシートがあるが、簡易的に行う場合はスプレー糊が便利だ。紙の裏面に軽くスプレーするだけでよい。粘着性が弱いので下の色を剥がすこともない。 

   
  <油絵具編>  
 
 

正方形を基に黄金比を導き出すことができる。

 人間は安定したもの、あるいは均整が取れているものを古代より求めてきた。バラバラなものより何らかのまとまりがあるものの方が美しいと感じていたからだ。その中で発見されたのが黄金比である。それ以来、縦横の比率や画面の分割に、もっとも美的な効果を発揮するものとして応用されてきた。黄金比は1:1.618の比率を指している。この比率は、もっとも簡単にこの比率を導き出すのが左図である。今日では黄金比は画面分割の定番となっている。

 
 

右下にモチーフ集め、左上にホワイトスペースを作っている。草を2本加え緊張感を作る。

 構図を考えるときに非常に重要なのがホワイトスペースである。モチーフを描かないスペースをホワイトスペースと呼んでいるが、無駄のような気がしたり、全部描き込みたいという気が生じることもある。そこをあえて空白にすることによって、心理的な余裕が生まれてくる。日本画や水墨画では日常的に行われている構図の取り方である。伝票などの不必要な部分を余白というがそれとは全く異なるスペースであり、絵に空間や奥行きを感じさせる効果がある。 

   
  <アクリル絵具編>  
 
 

豚毛の平筆はよくかすれが出る。

丸筆は自由な線描に向いている。

 アクリル絵具でのドライブラシは一般的にはナイロン筆がよく使われる。コシの弾力性もあり、着彩が滑らかにできる。しかし、ワイルドな雰囲気や粗いタッチが欲しいときには、ナイロン筆は上品すぎる傾向があり、それに代わるものとして油絵用の筆を使えば、ザラッとした感じを表現することができる。ドライブラシでは、乾燥した筆の先に絵具を少量付けてこすることになる。使用後スーパークリーナーなどですぐにクリーニングすることが大切である。

 
 

布は柔らかな曲線が引ける。

軽く叩きながら着彩する。

 ドライブラシは文字通り乾いた筆を使うのが原則である。しかし、実際には使えるものはどんなものでも使うのが創造の世界。ティッシュ、歯ブラシ、スポンジなど、少し絵具を付けてこすればかすれた感じは出せる。筆では出せないボカシやカスレが出せるのが布である。タオル地のものはこすってよし、たたいてよしである。たたくのは布目を特に付けたいときに有効である。水を多めにして溶いた場合にはあまりいい効果が出ないので注意が必要だ。 

   
  <アクリルガッシュ編>  
 
 

水をたっぷり加えて溶く。

筆の腹を上手に使ってぼかす。

 アクリルガッシュは下の色を隠すぐらいの平塗りが特徴である。元々は不透明水彩なので重ね塗りによる色出しが得意な画材といえる。しかし実際には、透明水彩的に薄く伸ばして使用しても独特の味が表現できる。鶴首(水差し)で水を多めに差しながら絵具を溶かす。水が多いと乾燥も遅らせることができる。パレットにある色が比較的長く使えるので種々の加工ができる。特にボカシや淡い重ね塗りは無視できない。

 
 

まず薄い色を塗り、色を重ねる。

最後は濃い色でメリハリを付ける。

 アクリルガッシュは平塗りがメインの画材であるが、実際には無光沢を生かした幅広い表現が可能な画材でもある。実際にはまだまだその可能性を生かした表現は行われていない。特に重ね塗りは、アクリル絵具には不可能なしっとり感のある発色となる。薄めた色を何色も重ねると深みのある色味が得られる。他の水彩絵具ではほとんど真似することができない。重ね塗りのラストは水を加えない色で、メリハリを付けると立体感が出てくる。 

   
  <パステル編>  
 
 

目の粗い布にジェッソを塗る。

布の風合いを生かせる。

 パステルはこすりつけて着彩を行うため、それほど基底材の種類は多くない。どうしても紙が中心になっている。光沢あるものは表面がツルツルしていて、色がつきづらい。ガラスや金属にはほとんど着彩が不可能である。布なども、そのままでは着彩することができない。キャンバスには下地材が付いているので、目の細かいサンドペーパーで一度研ぐと色がつきやすくなる。布の材質感がどうしてもほしい場合には、ジェッソを塗ってから着彩する。布の風合いを生かすことができる。

 
 

軽くパステルフィキサを掛ける。

グロスメディウムで皮膜を作る。

 パステルの弱点は描き上がっても、手で触れれば色が落ちてしまうことである。保存が難しい画材なのだが、パステルフィキサを使い発色を定着させることもできる。しかしフィキサでは完全にパステルの発色を残すことはどうしても難しい。絵を保護するには、画肌に皮膜を作る。発色が少し変化するのを見越して着彩しておき、軽くパステルフィキサを吹き付け、そこにグロスメディウムを塗る。光沢の皮膜が、水を弾いてくれる。

   
  <油性色鉛筆編>  
 
 

先を尖らせて柔らかく色を塗る。

ティッシュでこすって伸ばす。

 油性色鉛筆でのボカシは、グラデーションのテクニックそのままである。濃いところから滑らかに薄く広げればボカシとなる。これには2つの方法がある。あくまでも色鉛筆で着彩しながら、ボカシを作る方法と、ティッシュなどでこすってぼかす方法がある。ティッシュや布、指でこすって広げられるが、結構力をかけないと滑らかに色は伸びない。もう一つあまり行われないが、テレピン油などで筆を使ってぼかす方法もある。

 
 

消しゴムの角で線を入れる。

輪郭を消せばボカシができる。

 油性色鉛筆は、基底材に色が刷り込まれる状態なので、消しゴムで完全に消すことは難しい。完全に消したいときは砂消しを使うが、基底材の表面が毛羽立つこともあり着彩に影響する。消さなくてもいいように仕上げることである。ところがある程度消せるというその特徴を生かして、微妙な表現の加工ができる。光線やハイライトを入れたりすることで輝きのある表現になる。また、輪郭を消すことでボカシの効果を作ることもできる。

   
  <アクリル絵具編>  
 
 

勢いを付けて線を引く。

自由な雰囲気が伝わる。

 アクリル絵具で水彩風の絵を描くときの注意は、軽快な着彩を心がけるということである。スピードのある描き方をすれば、油絵風とは全く異なる表現になる。また、グロスメディウムなどのメディウムを使わずに、絵具と水だけで描くのが基本である。線を勢いに任せて引くと、自由で伸び伸びしたものになる。意外にこの線が、柔らかな曲線によって生命を感じさせるものになる。柔らかい線は描いていて楽しくなる。

 
 

濡れている上に重ねる。

乾燥した上に重ねる。

 混色はパレットの上で絵具と絵具を混ぜるのが原則である。しかし、それだけではなく混色にはいくつかの方法がある。前に塗った色が乾かないうちに次の色を重ねて塗ると、にじむようにして色が混ざる。アクリル絵具は速乾性なので、この混色をするときは水を多めにして乾燥を遅らせるようにする。もう一つの混色は、前の色が乾いてから、そのうえに重ね塗りをする方法である。滑らかにすればきれいな重ね塗りになる。

   
  <ボールペン編>  
 
 

自由な動きにもかすれることがない。

 サクラクレパスのボールペンには世界で初のゲルインクを採用したものがある。ゲルインクの特徴はインクの出が滑らかで、均一な線が引けることである。ボールペンはペン先にボールベアリングが使われているが、それが回転してインクを紙に移していく。普通のインキでは、インクの付き方にムラが出ることがある。ゲルインクにはそれがない。また顔料を使用するのでインクの発色が抜群に良くなる。特に、黒は本当の黒に近いので、美しい黒色になっている。

 
 

微妙な色のボールペンもある。

 ボールペンのインクは油性のものが始めから使用されていた。油性の方が粘着性があり、インクがかすれずに出てくるというメリットがある。インクの出の調整も油性の方がしやすい。インクは細いパイプに注入されており、ボールの回転についていきやすい性質であった。しかし、油性は描いていて小さなインクの玉を作ったり、裏写りしたりする。そこで開発されたのが、水性ボールペンである。水性顔料は発色が良く、裏写りがしない。乾燥が少し遅いが気にならない。

 
 

 ケント紙は元々製図用の用紙である。鉛筆の乗りがよく、インクの染み込みがいい。このケント紙が戦後のグラフィックを支えた。当時のポスターは原画を描くのにポスターカラーが使われていたが、相性が良かった。今でこそ、使う人が限られてきたが、まだその存在価値は大きい。ケント紙の表面はニジミ止めのためにコーティングされていた。固さを出すため粘土が混ぜられている。この粘土は、インクの吸収を高め、顔料の発色を助ける。特に顔料系水性インクはこのケント紙に合う。

   
  <油絵編>  
 
 

唇は微妙な濃淡によって表現できる。

 形を練習する時は、モノクロで描くと形の特徴がよく理解できる。有彩色にはイメージがあるので、全体の形がそれにだまされることがある。デッサンなどで木炭や鉛筆を使うのに共通している。黒に白を混ぜるだけの色だけで仕上げる。そのため、濃淡による線の表現とか、陰影を表現することができる。油絵に慣れるためにもこの練習は効果を発揮する。この練習を繰り返し行ってから、徐々に有彩色を使い始める。形と色の関係がこれによって明確に理解できるようになる。

 
 

目には出っ張りや窪みなどがある。

 人物画で特に基本となるのは、目と鼻と口の3つである。これさえうまく描けるようになれば表情の表現は簡単にできる。これらのものは単に形が同じに描けても、それぞれの位置がでたらめであれば全く別人の表情になってしまう。最も気を付けなければならないのは目の間隔や角度であり、これがあいまいになると似てこない。最も複雑なのは目で、まつげや瞳など材質的な雰囲気を出すことが必要である。瞳に入れるハイライトも馴染むように入れないと違和感が生じる。いきなり濃く塗るよりは薄く何度も重ねる。

 
 

塗り重ねると深みが出る。

引いた線のボカシも簡単。

 油絵の特徴は乾燥に時間がかかることである。これは一見、デメリットのように思われるが、これこそ油絵のメリットで、時間をかけて種々の加工ができる。1本の線を入れて、それをぼかすのでも、あわてる必要はない。形が気に入るまで、何度も重ねることができる。重ねていくうちに色も深まり、良い味になる。人物などを描くときも何度もモデルを見ながらじっくり制作が進められる。

   
  <クレパス編>  
 
 

この作品はジョルジュ・スーラ(1859-1891)の「サーカス」である。スーラは配色の天才でもあったが、同系色の配色に秀でていた。

 配色の中で最もよく行われているのが同系色の配色である。メインとなる色を決めてその同系色で絵を制作する。これによってその色が持つ性質がダイナミックに表現される。色のばらつきがないので統一感があり、それが美的効果となる。ピカソの青の時代や東山魁夷の緑の作品はその代表作である。配色がそれほど迷わずにできるが、明暗のコントラストを付けることが必要である。

 
 

 

赤のアクセントで活性化。

 同系色で配色をまとめると、確かに統一感が得られ美しい効果が得られる。しかし、奥深さが表現されるが、どうしても単調になってしまう。これを救うのがアクセントカラーである。全体の色調と反対の性質を持つ色を選び、少量画面に付け足す。画面に活性感がほしいときには、大きな効果が発揮される。例えば緑の画面には、補色である赤、黒の画面には白などが適している。同系色の配色は静かである。

 
 

色付きのコットン紙。

同系色となじみが良い。

 同系色の配色は統一感を与える。そのため基底材の色を白ではなく、基調とする色に最初からしておくと、簡単に同系色の効果が得られる。地色が白の場合は、どうしても「紙の上の色」を感じてしまうが、色付きの紙の場合には、色がしっとりとなじみ同系色の画面になる。クレパスやパステルの場合には特に色付き紙は効果が高い。白い紙に水彩などで地色を付けてからクレパスで着彩してもよい。

   
  <壁画編>  
 
 

古いコンクリートでもジェッソで。

 コンクリートの壁画はよく見られる。コンクリートはアルカリ性であり使用する絵具に制約がある。かつてこのコンクリートに油絵具で絵が描かれたが、劣化が激しく相性が悪いことが判明した。アクリル絵具はアルカリにも影響を受けないので、最適の画材である。ほとんどの壁画用画材はアクリル絵具である。ターレンスのアムステルダムは発色その他の面で抜きん出ている絵具である。コンクリートに直接着彩するよりジェッソで下地を作ってからにした方が、色の付きや発色が良い。

 
 

 壁画に使用する絵具が時間と共に劣化する速度は、部屋の中の絵画よりも早い。直接太陽を浴び、風雨にさらされるので、それは避けがたいものである。板壁の場合はより水を含みやすく、絵具の剥落を早める。しかも板自身が劣化していくので、付いる絵具も影響を受ける。耐久性を高めるには強固な下地が必要になる。絵画はほとんど下地によって決まるといってもよい。板材の場合もジェッソによる下地を作ることから始める。壁面から水分が入り込むのも防いでくれる。

 
 

 しっくいは、水酸化カルシウムや炭酸カルシウムからできている。これがいわゆる石灰である。この「せっかい」がなまって「しっくい」になりその当て字として「漆喰」になった。アルカリ性のこの材質が、防水性を高めている。土壁などの上に防水目的で使用されてきた。これが日本家屋の白壁である。コンクリート同様、ここに絵を描くにはアクリル絵具が適している。きめが細かく、着彩しやすいのが特徴である。真っ白な漆喰の壁に壁画を描く場合は、下地塗りをしなくても描いてもよい。

   
  <立体イラスト編>  
 
 

人は同じ高さだが違って見える。

 絵は平面の表現であるが、それを立体に見えさせる方法が古代より考えられてきた。中世には透視図法が考案され、盛んに絵の中で応用された。その他に、陰影によるもの、単純に手前は大きく奥にあるものは小さく描くという遠近法もある。これらは実際に立体でないものを立体に見させるという、一種の錯視を利用した立体視覚と呼ばれている。透視図法の一点透視を覚えておくと便利である。画面の一点に線が集中するもの。風景や室内の描写に向いている。

 
 

切り込みを入れ差し込んで接着。

 立体イラストでは、壁に掛ける作品などで付着させた素材が剥落したりする事がよくある。そのため、接着などで落ちない工夫を施すことが必要になる。最近の瞬間接着剤は、強力で時間が経っても剥落したりすることが少なくなった。しかし、それでも何年も経つうちに、接着剤が風化して剥落することもある。こうした時のことを考え、接着する部分をただ平面同士にするのではなく、切り込みを入れ差し込んで、接着剤で止めるなどの工夫をすると、ほとんど落ちない。

 
 

紙同士の接着剤ではゲル状が有利。

 紙を留める接着剤には、使用目的によって多くの種類が存在している。つまり使用する状態によって接着剤を選ばなければならないということである。貼り合わせてから、直後に位置の修正などをする場合は木工用ボンドがしっかりしていて適している。瞬時に接着する場合は、液状のものより、ゲル状のものの方が扱いやすい。ゲル状のものは接着剤が垂れにくいので、台紙を斜めにしても簡単に接着させることができる。接着直後なら位置や角度の修正ができる。硬化するのに時間がかかる。

   
  <水彩色鉛筆編>  
 
 

着彩して水を垂らす。

ティッシュで拭き取った。

 油性色鉛筆は、顔料にワックスを混ぜ固めている。ワックスは水に溶けない。水彩色鉛筆は水溶性のメディウムによって固められている。筆跡はほぼ一緒だが、水で溶かすと全く表現が異なるものになる。水彩色鉛筆は水で溶かして色を広げるが、乾燥してから再度水を付けるとまた溶けてしまう。従って、重ね塗りをするときは下の色が溶けることを考えて行うようにする。これを利用してボカシができる。

 
 

ナイロン製の筆先はまとまりが良い。

 水彩色鉛筆の使用目的は描いてから水で伸ばすこと。それには筆と水入れが必要である。しかし、旅先などで水がなかなか調達できなかったり、水入れもじゃまになる。これを解決するために、筆と水入れを複合させたのが水筆である。ホルダーにタンクが内蔵されているので、そこに水を入れて持ち歩ける。水筆には大中小の3サイズがあり、絵の大きさや細密度によってサイズを選ぶ。水入れがなくても、即座に色が伸ばせるのは大きなメリットである。色を伸ばした後はティッシュで拭き取る。

 
 

高級紙は微妙な色の伸びも見せる。

 水彩色鉛筆は比較的に幅広い基底材に色を付けることができる。ただし、それは水彩画という範囲での話である。つまり、相性がよいのはあくまでも水彩紙なのである。一般のケント紙などでは、色の乗りも悪く、水での伸ばしにも弱い。それがフォローできるのがスケッチブックである。スケッチブックの紙は、基本的に水彩紙である。しかしスケッチブックの用紙の種類は意外に幅広い。画材店には画用紙から高級紙まで、各種のスケッチブックが市販されている。いろいろ試して選ぶとよい。

   
  <コラージュ編>  
 
 

印刷物をカッターで鋭く切り抜いたものを使用している。見るというテーマのためシャープさが出ている。

 コラージュとは20世紀初頭に展開された既成の絵画に対する否定運動(ダダ)から生まれた技法。絵具では出せない味を作り出すことができる。印刷物を単純に張り合わせているのではなく、絵具の色だと思って使うことがコツである。また写真が本来イメージしているものを全く別のイメージに作り直すことで、ユニークな表現ができる。貼り合わせるだけで、仕上げる場合と、そこに着彩をプラスする場合がある。

 
 

紙や布類のコラージュの接着剤としてジェルメディウムがある。アクリル絵具の盛り上げ剤だが、紙をしっかりと貼り付けられる。左からヌーベル、アムステルダム。

 コラージュには接着剤が欠かせない。写真や印刷物は紙なので糊が最適。糊には水分があり紙をたるませる。たるんだりシワが入ったものは、画面になじまない。それを避けるためにはスプレー糊がある。スプレー糊はシワを出さずに貼れる。スプレー糊の欠点は時間が経ると接着性が弱まりはがれてしまうことだ。絵という作品のクォリティを維持するためには、ジェルメディウムが適している。

 
 

布のコラージュは柔らかい。

身近なもので半立体の作品も。

 コラージュの材料は、ほとんど無限といってもいいほど存在している。元来は印刷物から始まった技法なので、紙類は定番と言える。その他に布の柄を利用したものや、木の板や植物を利用したものがある。また強力な接着剤のおかげで、石やコンクリート片が制作に用いられている。プラスチックやビニール系のものは、印刷されたものも多くモダンなコラージュができる。最近ではアルミ缶や針金なども使われる。

   
  <透明水彩絵具編>  
 
 

リキッドマスキングフィルム。

マスキングシートは幅広い。

 マスキングの材料は本来どんなものでもいい。セロテープや紙ですらマスクとして使用できる。一般的によく使われているのは液状のもので、「リキッドマスキングフィルム」などがある。これは、筆でマスキングしたい部分に塗り付けるもの。水彩などに適している。粘着性のフィルムシートは、昔からエアブラシなどで使われてきた。いずれも、すぐにはがすことができないと用をなさない。

 
 

マスキングフィルムを引く。

紙の白さなので画面になじむ。

 もっとも光っている部分をハイライトと呼ぶ。普通は白で描かれる。金属などの光沢があるものの表現の時に使用される。もちろん髪の毛のつやを表現することもある。普通は不透明な白で最後に光の線を入れることが多い。そのとき、どうしても線が画面になじまないことがある。それを解消するには、マスキングフィルムを細筆で放射状に入れると、画面になじんだものになる。

 
 

フィルムで細い線を引く。

光沢のあるところだけ残す。

 髪の毛はいろいろな表現の仕方がある。マスキングフィルムを使って先に細い線を引いておくと、意外に簡単に表現することができる。フィルムを引いておいて、その上から水彩で一本一本線を入れていく。フィルムをラバーではがすと、白い線が現れる。この線のままだと、白髪のように見えるので、この上から、薄く線を入れ、もっとも光沢のあるところだけ白く残す。髪の毛は長い線を流れるように入れるといい。

   
  <ペン画編>  
 
 

髪の毛は0.05でかなり細い。

0.1の線はシャープな表現に。

 製図ペンは線幅が一定の線を引くことを目的に作られている。したがって線に強弱をつけたりすることは難しい。逆にその一定の線幅を生かした表現が可能である。0.1のものは製図ペンの中でも細い部類に属している。さらに細いものに0.05などがある。製図で言えば細線。グラフィックデザインではしばしばガイドラインなどに用いられた。これから、0.1のペン画も出てくると思う。

 
 

2ミリ角に活字体を描く。

上図を拡大したもの。

 かつてグラフィックの世界ではレタリングというものが必須の技法となっていた。手描きの活字体で描くのだが、なかなかこれが難しい。これをマスターして、さらに2ミリ角の中にもレタリングができないと仕事にならなかった。ポスターに商品を載せる場合、それを写真で撮るわけにはいかず、手描きで表現することになる。当然そこに描かれている文字は小さい。それを早くきれいに描くのがプロの技と言われた。0.1のペンはそれを可能にするものであった。

 
 

ピグマペンは製図ペンの定番。

8色でここまで表現できる。

 ピグマペンはかなり多くの人に使われている製図ペンの定番である。かつての製図ペンは黒だけの世界だった。もちろん黒だけで、製図や版下というものは作成されていたので別に不便はなかった。この製図ペンに色を持ち込んだのがピグマペンである。コミックやイラストにはどうしても色がほしい。その要求に応えてのものだった。0.1の製図ペンには8色が用意されている。これだけあるとかなりの表現が可能になる。

   
  <パステル鉛筆編>  
 
 

紙やすりで先を研ぐ。

極細の線を引くことができる。

 パステル鉛筆は、パステル画で髪の毛やまつげなどを描くときに最適である。パステル鉛筆は、色鉛筆のように細くできている。しかし、線をより細く描く場合には、先を尖らせなければならない。先を尖らせるのに、カッターナイフが便利だが、太さを常に一定に保つためには、紙やすりが使いやすい。少し描いては、先を研ぎ、再び描き始める。

 
 

紙やすりで粉末にし水を加える。

筆で着彩すれば細い線が描ける。

  パステルの使い方は、色を紙につけて伸ばす、という方法だけではない。粉末顔料を固めた画材であるということは、水に溶けるということである。この性質を利用して、パステル鉛筆を、紙やすりで粉末に戻し、そこに水を加えて溶けば、水彩絵具として使える。つまり、筆で描けるということである。もちろん一般のパステルでもできる。より細い部分の描き込みに向いている。

 
 

狭い部分のぼかしは、細い線を引きそれをスポンジブラシでぼかす。

 パステルを伸ばすツールは、かなり多い。指は定番であるが、その他にティッシュペーパーや布などがよく使われる。最近ではあまり使われなくなったが、紙を棒状にした「擦筆(さっぴつ)」という専用ツールもある。よく使われている専用ツールにはパステルブラシがある。これはほとんど化粧用のものと同じである。パステル画は限りなく化粧に近いと言われる。パステル鉛筆で、どうしても用意しておきたいのが先端がヘラ状のスポンジブラシである。細い線をぼかすのに適している。

   
  <アクリル絵具編>  
 
 

着彩部分の断面を見ると、下の色よりも上の色方が収縮率が高い。

 絵の世界でよく見られる画肌のヒビは、本来なら避けたいものである。ひびが入らないようにするためにはどうしたらよいか、そのために絵具の研究開発があったようなものである。画肌のひび割れは、なぜ起きるのか、それほど難しくはない。下に塗られた絵具と上に塗られた絵具の、収縮率が異なる場合にひびが起こる。特に、上に塗った絵具の収縮率が下よりも高いとひび割れる。逆に画面にひび割れを作りたいときは、これを利用する。ひび割れ用のメディウムも作られている。

 
 

ひびやシワに見えるよう作られた。

 ひびにはなんとも言えない魅力がある。自然が作るひびではなく、やっているうちに自然にひびやシワが入ってしまうことがある。塗装では、粘着性の高い塗料をランダムに吹きつけ、コテで抑えるという技法がある。これは、人工的に吹きつけ、それを平らにすることで、ひびやシワに見せかける。この技法は、アクリル絵具などでも、ジェッソを使うことで行うことができる。これによる、ひびの効果は、自然の崖風に見え、機械的なイメージが薄く、人に和むものがある。

 
 

粒状に色を出しては埋めていく。

針で流すように混ぜると面白い。

 盛り上がる着色剤は意外に種類が多い。エスピエ デコレーションペンは、盛り上がるマーカーとして、どちらかといえば文房具として市販されている。こうした筆記具は、積極的に絵の中に取り込むと新鮮な表現になることが多い。複数の色を粒状に出して、面を埋め、これを針で、引っかくように混ぜると不思議な線が生まれる。ラメ入りのものを混ぜておくと、キラキラした効果が出てくる。

   
  <アクリル絵具編>  
 
 

透明なプラスチック板にも、自由に着彩することができる。

 アクリル絵具の特徴は、ほぼどんな基底材にも使えるということである。それぞれの画材には適した基底材がある。その画材の特色を生かすものであり、その画材が最も使いやすい状態にしてくれる基底材というのがあるということだ。例えばパステルはやはり紙類が、乗りやすい。光沢のあるものやツルツルな画面にはパステルは付着できない。水彩も同様である。アクリル絵具は、付着力が強くどこにでも着彩できる。万一、着彩できなくてもジェッソを引いておけば、そこに着彩できる。

 
 

乾燥した画面は耐水性となり、水をかけても色が溶け出すことはない。

 アクリル絵具は着彩するときは水溶性(水に溶けるという性質)で、乾燥後は耐水性となり、水がかかっても色が流れ落ちない。この性質は乾燥後の重ね塗りに大きな効果を発揮するものである。重ねても、下の色が溶け出すことはない。透明水彩のような重ねて発色させることもできるということである。また、皮膜が耐水性になり、保存に効果を発揮する。デメリットは、油絵のような下の色との混色ができないことである。メディウムを混ぜれば、さらに耐水性や付着力は強化される。

 
 

ジェッソは非常に便利な下地剤。どんな基底材でも絵が描けるようになる。

 一見して絵具が塗れないと思われる基底材でも、着彩可能になる方法がある。例えば布などは水分を吸い込み、色の伸びが悪くなる。木の板なども同様である。こんなときに、目止めをすれば着彩しやすくなる。油絵のキャンバスは麻布に白の下地剤を塗って目止めをしている。目止めの技術は早い時代から存在していたが、現代に入ってアクリル絵具が普及したため、いま頻繁に使われるのがジェッソといわれる下地剤である。紙や板、布や金属でさえジェッソを塗っておけば絵が描ける。

   
  <油絵編>  

ペインティングナイフの先端の縁を画面に水平に着け、前方に斜めに倒して色を広げていく。ナイフの跡を残さない。硬質な堅い画肌ができあがる。

 ソフトなタッチを描く人は多いが、硬質なものを得意とする人は少ない。岩、壁、石畳、レンガ、機械、焼物など、硬質のものが意外にある。硬質なものの表現を覚えておくと便利だ。硬質なものの中で、平らな面を持つものは、緻密な面を作ることで表現できる。その技法には、もちろん筆でもできるがペインティングナイフが欠かせない。特に先の広がっているものが使いやすい。面が緻密になり堅さが出てくる。

   

プラスチックのフォークは弾力性があって使いやすい。

 硬質な雰囲気を出すときに、画肌に傷を入れることがある。これは、先の尖っているもので、まだ乾燥しない絵具の上からスクラッチを行うことで、硬質なものに付いた傷を表現するものである。このときランダムなハッチで入れるよりも、平行線で入れる方が、より硬質な感じを増す。平行な傷を入れる道具は、フォークやクシがある。平行な線を入れる場合でも、できるだけ直線を意識する。自由曲線はどうしてもソフトなイメージを与えてしまうからである。傷は筆やナイフで画面になじませることが必要である。

陰影を入れると、壁が浮きでて、より硬い壁らしくなる。

 硬質感を出すのに、画肌がすごく重要であることは、言うまでもない。画肌がもたらす風合いがそのまま材質感に結びつくからだ。いかに、画肌を処理するかは、多くの画家たちが研究し、工夫してきた。しかし、硬質感を出すのにもう一つ重要なエレメントがある。それが陰影である。陰影こそが、そのものの存在を表現する手段なのである。陰影が柔らかければ、ソフトなイメージになるし、陰影が明快なら硬質なイメージになる。陰影を入れることによって凹凸が生まれ、その材質を浮き彫りにする。

   
  <クレパス編>  
   
 

両側にセロテープを貼る。

間をカッターで削り取る。

 塗って直線を描き出す方法に対して、色を削ることによって直線を生み出す方法が削り取りである。基底材はアイボリーケントのような表面が固く、つるつるしているものがいい。そこに、明度の暗い色を、厚く塗っておく。直線的に削り取る部分をはさむようにセロテープを貼る。その部分をカッターナイフの刃の腹で、色を削り取る。そこに、白抜きされた白い帯が現れる。多少、塗った色が残るところがいい。

   
   
 

定規に沿って直線に切る。

切り抜き部分に着彩する。

 同じ形を何度でも描くためにテンプレートがある。円形や楕円などの形が抜かれたプラスチックの板である。特にクレパス用のものはないが、直線用のものなどは自分で作ることができる。スーパーで惣菜などを入れている透明なプラスチックケースを利用する。板状の部分を、カッターで切り抜き、さらに帯状に切り抜く。幅の違う帯を複数切り抜いておくと、便利である。テンプレートを紙にあて、そこに色を塗る。

   
   
  <エンピツ編>  
 
 

濃度を変えると奥行きが出せる。

 鉛筆画はモノクロームの世界。その点は水墨などと共通している。モノクロームの世界では、色材の質感と濃さだけが表現のためのものである。濃淡とは、白から黒までのグレイスケールのことで、その段階は無限にある。濃さの変化によって、奥行きや遠近を表現することができる。陰影によって物の存在が成り立っているように、陰影を付けることによって、そこに石があるように見せることができる。面の明るさを変化させることで立体感は、よりリアルになる。濃さが表現に大きく影響する。

 
 
 

スプレー式「FIXATIF」300ml 1,260円。

 絵具は色材(顔料)を糊の性質を持つメディウムで基底材に貼って色を付ける。一方、鉛筆は基底材に、黒鉛をこす付つける画材である。仲間にパステルやコンテがある。これらは紙に色が乗っているだけ。そこに手を触れれば、色が落ちる。その性質を生かしてボカシができる。仕上げの際には定着液を吹き付けることで、画面を保護することができる。ここで使用するのがフィキサチーフという定着液。軽く吹き付けることで、触れても色落ちしないようにする。スプレー式が便利。

 
 
 

よく消える「電動字消器」 6,825円。

字消し板と「砂消し」 105円。

 一般的に鉛筆の字を修正するとき、消しゴムを使ってする。鉛筆画では、そう簡単に消えない。鉛筆が重ねられたり、強い筆圧で描いたりするので黒鉛が厚くなっている。消すとゴムに黒鉛が移り、それがまた紙などに付くので結局消えないか汚れる。それを回避するには、電動消しゴムがよく消えるので便利。それと昔ながらの字消し板を使って砂消しで消すのも効果がある。

   
  <スクラッチ編>  
 
 

ニードルでスクラッチ。

黒インクで修正ができる。

 スクラッチするために最初から墨が塗られている黒いボードである。クレイボードの上に塗られているので、硬質で引っ掻きに耐える表面になっている。クレイボードとは、堅牢な厚紙にクレイ(粘土)が塗られているもので、種々の加工がしやすくなっている。クレイボードにカラーインクを塗り、その上に製図用黒インク(エコラインのチャイニーズブラック)を塗ると、自作のスクラッチボードになる。

 
 

ドライバー(左)はダイナミックな線が出せる。カッターナイフ(中)は削ったり線を引いたりできる。紙やすり(右)はボカシに使える。

 スクラッチ使用される用具は、専用のツール(4本入り850円)が便利だが、それ以外にも身の回りにあるものが使える。
もちろん、ニードルのような先の尖ったものが使いやすいが、ドライバーやカッターナイフといったものも使いやすい。ドライバーは、幅の広いスクラッチができる。カッターナイフは細い線だけでなく、さらに広い部分をはがすのに使える。ソフトにぼかすのには紙やすりが使いやすい。

 
   
 
 

厚紙の上に印刷物を貼り付ける。

出てくる色の予測がつかない。

 印刷物には、色鮮やかなインクが使われている。その発色を生かしたスクラッチは、意図的に下塗りしたスクラッチと違い、色の出方に写真という制約がある。逆にそれが面白い効果となるので、やってみなければ分からないという性質と合わさって、楽しさが生まれる。下を隠すために使う画材はクレパスやクレヨンの黒。クレヨンは印刷物には塗りづらいので、クレパスが最適と言える。

   
  <固形水彩編>  
 
 

木漏れ日は、太陽の光が直進してできることを表している。その光が当たった地表は明るくなる。

 光は直進する性質を持っている。それによって光が物に当たるとその影が、直進する方向にできる。これが、絵を描く場合の基本になる。建物などのように人が作った環境では、光が一方向から来るとは限らない。しかし、一方向としての絵を描く方が立体感や現実感が増す。光が当たっている所は明るく、当たっていないところは暗くなる。この極当り前なことが、光を表現する重要な基本となる。

 
 
 

残す部分を明快に描く。

最も明るいところは塗らない。

 基底材が紙の場合、最も明るい色はその紙の白さということになる。その紙の白さを生かすためには、絵具を塗らないか、塗っても薄く塗ることが必要になる。特に透明水彩では、紙の白さを利用した描き方になる。発色がその絵具だけではなく、紙の白さがちょうどバックライト(液晶画面のように)となり、鮮やかに見えさせる。いかに計画的に白地を残していくか、最初に決めておかなければならない。

   
 
 

水で薄めて拭き取る。

紙やすりを折り曲げてこする。

 光にはいろいろな種類がある。ピカーと光っているものから、薄ぼんやり光っているものまで、さらに太陽光と人工照明による光などその性質も異なる。この中で、鋭いシャープな光とはかけ離れた、霧の中の光のようなぼんやりしている光を描くときは、ボカシが役に立つ。ぼかし方は色を一度塗った所に水を付け拭き取る方法と、紙やすりでこする方法がある。紙やすりは折り曲げて使うとシャープな光も表現できる。

   
  <ソリッドマーカー編>  
 
 

 固形油絵具はオイルスティックなどとも呼ばれている。基底材にこすりつけると、摩擦熱で溶けて、油絵具状に戻る。一見クレパスやパステル、クレヨンのようにも見えるのが特徴である。
  ソリッドマーカーは油絵具ではない。速乾性を求められているため、アクリル絵具に近い。しかし、塗ると溶けるのは、固形油絵具と同じである。ソリッドマーカーはホルダーに入っているため、手が汚れない。この性格を利用すると、素早くきれいな着彩ができる。
塗ると溶ける画材はまだまだ多くの可能性を秘めています。

 
 
 

 

 ソリッドマーカーの特徴は、ほとんど基底材を選ばないということである。どんな材質のものでも、色が付着する。この辺はアクリル絵具に共通している。
  塗ると一瞬にして溶け、皮膜状に基底材に付着する。これによって、空気が入らず真空状態になり密着できる。もともとは、ソリッドマーカーが荷物の表示などに使用するものなので、どんなものにも描けることが要求されたのである。ガラスでも、金属でも表面がつるつるであっても難なく描くことができる。もちろんコンクリートなどにも描ける。

 
 
 

 引っかき(スクラッチ)は一度塗った絵具を、尖ったもの(ニードルなど)によって線状に削りとることである。引っかく道具は先が尖っていればどんなものでもよい。クレパスは引っかきに向いている画材であるが、ソリッドマーカーもまた、引っかきができる画材である。
  引っかきの条件は、塗った絵具だけが剥がせること。強く付着し過ぎていたり、基底材に染み込んでいたりするものはできない。楽しいのは、下に一回塗った色が、その上に色が重なり、引っかいた時に、下の色が出現するところである。

 
   
   
  <デザイナーズガッシュ編>  
 
 

 絵具の大部分は水を使って溶けるタイプのものである。そこには透明水彩、固形水彩、ガッシュ、アクリル絵具、アクリルガッシュ、カラーインク、顔彩、などがある。
このうち、ウォッシングに適しているのは乾燥後も水溶性を維持する絵具である。アクリル絵具やアクリルガッシュは乾燥すると耐水性になるためウォッシングが難しい。カラーインクでも乾燥後、水溶性のままのものは利用できる。
  耐水性のものは乾燥する前にウォッシングをしたり、乾燥後にたわしや金たわしなどで強引に行うことはできる。

 
 
 

 

 ウォッシングで使う道具は家庭にあるもので十分である。技法によっては、道具がいらないものもある。基本的に洗う道具といっても絵具が流せればいいので、手でも一向にかまわない。ただし、洗う際にタッチのようなものを残したいというときには剛毛のもの、たわしとか歯ブラシを使用する。アクリル絵具のようなものには紙やすりなども使える。平均的に色を落とす時はスポンジ。部分的に色を落とすには、筆を用いるとよい。水道を使わないウォッシングの場合はスポンジや布、ティッシュなどで拭き取る。

 
 
 

 ウォッシングをする場合は、絵具が乾燥後も水に溶けやすいということがまず条件である。しかし、水を使う以上、基底材となる紙が水に弱いと、紙も流されてしまう可能性がある。
  そこで、ウォッシングに使用する紙は、水で毛羽立ちが起きないものにする。一般の画用紙は毛羽立ちが起こりやすいが、高級水彩紙であるほどしっかり繊維がしまっているので、そのようなことが少ない。
  ケント紙類は強いが、逆に水によってほとんど流されてしまうことがある。

 
   
   
  <カラーインク編>  
 
 

丸ペンは細い線が引ける。

ユニークな手の形をしたペン先。

 インクをペンに付け、線を引いたり、点を打ったりするものをつけペンという。かつては、圧倒的にこのペンが使用されていたが、現在では専用のペン先の製造も少なくなってしまった。製図ペンのようにそれ自身がインクを内蔵しているものに、その座が奪われた形である。つけペンのペン先の種類も多かったが、最近では丸ペンやGペンなどしか手に入らない。カリグラフィ用のものは健在である。

 
 

砂消しで根気よく消す。

電動消しゴムは意外に便利。
(サクラ電動イレイザー)

 ペン画では、使用するインクが顔料系であったりするため、化学的なインク消しが使用できない。そのため、線の入れ間違い、インクのボタ落ちなどのミスが許されない。しかし、ミスは付きもの、どうしても修正しなければならないときは、物理的なインク消し(修正)を行う。その方法にはいくつかある。砂消しで消す。電動ゴム消しで消す。カッターで削る。これらの方法は、手で行うものであるが、それほどの技術はいらない。限られた場所の修正には地消し板(金属製の薄い板)やプラスチックの板で消さない部分を保護しながら行う。

   
   
  <アクリルガッシュ編>  
 
 

ビニールに油を引き色を乗せる。

版画のような表現になる。

 お互いに反発し合うものが、意外な効果を生むことは、実用化されてもいる。オフセット印刷は油と水の性質を利用して行われている。油性のインクは、水が付いたところには付着しない。      
  ビニールに油を引き、そこにアクリル絵具を塗ると、反発し合ってうまく色が乗らない。それでも強引に塗り、画用紙を上に乗せ圧着する。一種の版画であるが、想像できない表現が得られる。

 
 

BBケントに溶き油を引く。

アクリルガッシュは着彩できる。

 アクリル系の絵具は、基底材を選ばない。もちろん塗ることのできない素材もあるが、絵具の中で幅広い基底材に絵を描くことができる。紙、木、金属、ガラス、ビニール、プラスチックなど、ほとんどの基底材に着彩できる。
  アクリル系の絵具に入っているポリマーメディウムがどんなものにでも描ける力を作っている。水で薄めれば、当然その力は弱まる。水を多めに溶けば、プラスチックの上では弾く。
  油を塗った紙に、水を少なめに混ぜた絵具を塗ると、何事もなく塗れてしまう。

   
   
  <ソフトパステル編>  
 
 

色に白墨を混ぜる。

ティッシュで延ばす。

 パステルは色が粉状になっている。水分の全くない絵具は、物理的に広げていく以外にない。指やパステルブラシはそうした物理的に色を広げるための道具と言える。しかし、指やパステルブラシでは色の広がりがイマイチ滑らかでなかったり、限界があったりする。
  それを解決するために、色をのびやすくするための材料がある。白墨(チョーク)などがそれである。これを展色材と呼んでいる。

 
 

線の上にも色が乗る。

ピグマぺン 0.3。

 線を生かしたパステルの塗り方がある。線としては、鉛筆、筆(墨)、マーカーなどがある。そのほかに、製図ペンやボールペンといったものもある。
  中でも、ペンとの併用は、パステルの効果と相まって独特な雰囲気を生み出している。ペン画はもともとモノトーンの世界を表現するのに向いているが、これに色を付けることで、新しい表現を生み出すことができる。
  ペンの線幅は別に条件があるわけではないが、一般的に0.3が使いやすい。ボールペンはインクがにじむことがあるので注意。

   
   
  <オブジェ着彩編>  
 
 

 板への着彩には、木目や木の材質を生かすやり方と、木目が見えなくなる塗り方である。前者では、透明な発色効果を持つアクリル絵具や透明水彩が適している。後者はアクリルガッシュのような不透明水彩で、厚塗りにする。木目を生かす塗り方では、色味を薄くして水やメディウムを多めにする。色味が少し多いだけでも微妙にイメージは変化する。木目が見えなくなる塗り方では、かなりの厚塗りでも、木質という雰囲気は消えないが、ジェッソなどの下地材を使うと、時々プラスチック的に見えることがあるので注意が必要。

 
 
 

バーナーで燃やす。

金ブラシで研ぐ。

 木目は自然の雰囲気が感じられる木材独特のもの。木目は木の種類によって全く異なる。また、節なども人工的に作ることができないものである。木には木目がくっきり出るものと、木目が出ないものがある。木目が出ないものには桐(きり)とかラワンがある。杉の板は、木目がはっきり出る材質なので、木目を生かした制作には最適といえる。杉の板は、焼きを入れると、木目だけは残り浮き出てくる。焼きの入れ方は、ガスコンロやガスバーナーで十分行える。焼いた後で、金ブラシで柔らかいところを落とし、さらに木目を浮き立たせる。

   
   
  <クレパス編>  
 

 クレパスはオイルワックスが顔料に混ぜ合わされてできている。このワックス成分は、低い温度で溶ける。この性質を利用するとドライヤー程度の熱風でもクレパスを溶かすことができる。
熱を加えるための用具はどんなものでもよい。家庭にある電熱器、ハンダゴテ、アイロンなど発熱するものなら使える。ただし、炎が出るものは火事につながるので注意。例えばライターを使う時は、時間をかけずに瞬時にあぶるようにする。

炎を斜めに当てる。

炎の跡が面白い。

 
 

トレペ裏にアイロンがけ。

布にかすれた転写。

 転写には圧力を加える方法と、熱を加える方法、それと溶剤を使う方法がある。溶剤を使う場合はターペンタイン(テレピン油)や除光液を被転写用紙(ケント紙や画用紙)の全面に塗り乾燥する前に手早くクレパスを塗ったトレーシングペーパーを貼り合わせ、手のひらで圧力を加えるとできる。
  圧力による方法は、筆圧を使う。上質紙など薄手の紙にクレパスを塗り、それを裏に返し、別の紙に乗せる。鉛筆などで線を引くと、下にその線部分が転写される。
  布に転写するにはアイロンによる熱転写が向いている。熱転写では、色を吸収しないトレーシングペーパーを使用する。

   
   
  <油絵編>  
 

 水彩絵具は水で溶くが、油絵具で水にあたるのが溶き油である。溶き油には、オイルと呼ばれる植物系のリンシードオイルなどと、希釈剤(きしゃくざい)と呼ばれるものがある。この希釈剤には石油から作るホワイトスピリット(ペトロール)、そして松脂を蒸留して作るターペンタイン(テレピン)がある。
 色をのばすのには、抜群の効果を発揮する。オイルだけなら幾分の光沢もあるが、希釈剤だけでは艷は出ない。オイルに希釈剤を混ぜて使うこともある。

 
   

ターペンタイン 787円。

 

ホワイトスピリット 682円。

 

 油絵はスローな制作を好む人に適している。乾燥が遅い(完全に乾燥させるには半年)が、その間に種々の加工ができる。それが楽しみの一つである。
 しかし、展覧会に出品しようとしていて、制作が遅れてしまったりした場合、速く乾燥させたくなるときもある。そのような時に、乾燥を早める乾燥促進剤を使用する。シッカチーフがそれで、絵具に混ぜて使用する。
 しかし、使い過ぎるとヒビ割れの原因になったり、絵具の老化を早めることもあり、少量の使用を心がける。
 調合溶き油のクイックドライイングは、早めの乾燥が得られ、程よい艷もある。

 
   

シッカチーフペール 840円。

 

ペインティングメディウム
クイックドライイング 840円。

   
   
  <アクリル編>  
 
 

@グロスメディウムAペインティングメディウムBジェルメディウムCマットメディウム 各315円(50ml)

 アクリル絵具は万能の絵具といわれる。幅広い表現が可能であるからだ。しかし、アクリル絵具を万能にしているのは、実は各種のメディウムがあるからである。グロスは付着力を増し、程よい光沢を与える。ペインティングは水で薄めたとき付着力を強化する。ジェルは盛り上げとかコラージュができる。マットは無光沢にする。

 

 

   
 
 

 アクリル絵具は基底材を選ばない。つまりどんなものにも着彩できる。それを助けているのが下地剤のジェッソである。ジェッソはほぼどんなものにも塗れる。ガラスや金属面にも、ジェッソを塗れば、その上からなら簡単に絵具も塗れる。さらにジェッソを塗ると、色がのびやすくなる。木やボール紙などのザラザラした基底材でも、容易に色はのびる。下地が白になれば発色も良くなる。ジェッソを塗ることで基底材の強度を増させることも可能である。例えば新聞紙に塗れば、破れづらくなる。

段ボールのような基底材でもジェッソを塗れば着彩しやすくなり、発色の効果を上げることができる。

 
   
   
  <ボールペン画編>  
 
 

パイプの先端にボールを装着する。

 ボールペンが実用化されたのは1943年、ハンガリー人によるものである。量産化されたのは、50年代以降。当初のボールペンは、インク漏れや、空気が入り込み、目詰まりが起こることも稀ではなかった。質的に安定するのは70年代で、その頃には日本でもかなり高品質のボールペンを生産し、世界の先端に躍り出た。ボールペンの構造は、インクを入れたパイプの先端に金属ボールかセラミックスボールを装着するようになっている。

 
 

 ボールペンには、大別すると油性と水性がある。ボールペンに使用されるインクは程よい粘着性が必要で、そのため油性が最初に開発された。油性のインクは紙への付着力があるが、油性分が浸透して、裏ににじみ出ることがあったり、先玉(ペン先に油が玉のように出ること)ができたりする。それを解決するためにできたのが水性である。水性は日本で生まれた。水性は水に弱いという欠陥があったが、それを解決したのが中性(ジェル)ボールペンであり、今後はこの中性のものが中心になる。

左:油性、右:中性(ジェル)。中性はもともとは水性である。

 
   
   
  <フロッタージュ編>  
 

 フロッタージュに適している画材は、固形の画材が適している。ただし、あまり柔らかい画材は避けた方がよい。紙を型となるものに押し付け、色をこすり付けていくので、形をしっかりとらえられる画材がよい。クレヨンとクーピーは良いが、クレパス(オイルパステル)は細かい模様を取るのには向いていない。記念碑などで行われている拓本も墨などによるフロッタージュである。

 

クーピーは細かい模様も取れる。

 

明快な凹凸にはクレパスも使える。

 

 コラージュとは、印刷物を切り抜いて本来の目的とは全く異なるものに再構成する技法である。ここでは、フロッタージュによって、集められた模様をいろいろな形に切り、再構成することもコラージュと呼んでいる。集められた形は、色も幅広く使っておくと、再構成するときに、配色の可能性が広がる。
さらに模様は、細密な模様や粗い目の模様など、疎密に差があるものを選んでおくといい。表現に強弱ができ、メリハリが付く。これらの作業は、したい時にすぐできるものではなく、日頃から模様を採集しておくとよい。

 

模様の疎密が画面に強弱の変化を与えている。

   
   
  <コラージュ編>  
 
 

アクリル画で、印刷物を柄の一部として使用すると、そこだけがリアル(写真)になり、面白い効果が得られる。

 コラージュは全面的な印刷物の活用から、部分的な利用までその表現の種類は幅広い。部分的な利用では、絵の一部に印刷物を使いほとんどをアクリル絵具などで仕上げる。手描きの効果と、写真のリアルな効果が混じり合って不思議な雰囲気をつくりだす。写真のモチーフをそのまま使わず、模様的に使用すると、印刷物がでしゃばらずまとまって見える。これがコラージュの面白さである。

 

 

   

 

 

 コラージュは基本的には印刷物を使用するので、基底材に貼り付けるために接着剤が必要である。印刷物は紙なので、貼り付けられるものであれば、何でも使用できる。しかし、水分を含んだ接着剤は、その紙にしわをもたらすことがあり、そこだけが別の素材ということが分かってしまう。スプレーのりは紙の伸び縮みは起こさないが、耐久性がない。アクリル絵具で使用されているジェルメディウムは、コラージュにも適した画材である。筆による処理が可能なので手を汚すことなく制作できる。最近では、印刷物以外(例えば布や金属)のものも使用するので、接着剤もそれに応じて選ばなければならない。

ターレンス
エクストラヘビージェルメディウム
150mlチューブ 1,050円

   
   
  <立体イラスト編>  
 

 布のような柔らかい素材を使って、型を作りたいと言ったときに、よく用いられるのが布と下地剤のジェッソである。布はほぼどんな素材でもいい。カットソーで使われるニットやナイロン系のものでも、ジェッソを使えば型を作ることができる。素材によっては吸収性がいいものがあり、塗っても塗っても吸収してしまうものもあるが、2度塗りすればほぼ塗り重ねられる。

古タオルは吸収性がいい。

半乾きになってから形を整える。

 

 立体造形の世界では、あまり専用画材というものがない。もちろん、板とか、プラスチックとか、金属板などは専門店で売られている。しかし、あえてそこに行かずに作りたいとも思う。そこに行けば皆と同じになってしまう気がするから。そこで、普段から、生活の中で捨てるようなものをストックしておくようにする。ある程度たまったところで、制作する。制作するときは、そこにあるものを生かすものを作る。材料もできるだけ、集めたもので仕上げるようにする。不足しているものは百円ショップなどで揃える。

日頃から素材をためておく。

 

素材を見て形を作る。

 
   
   
  <鉛筆画編>  
 

物体にさえぎられてできるのが陰、面にできる形が影である。

 表現の世界ではよく「陰影を入れる」という言葉が使われる。しかし、陰影といった場合、陰と影では性質が異なる、ということを知らない人が多い。陰影は光によって生じる。ここまでは誰でも知っている。陰とはその光が物体に当たって、さえぎられた空間のことである。影とは、その陰が面に作り出す形である。基本的には、陰は見えない。面に当たって影を作って初めて、そこに陰があることを認識する。陰はもともと、中国の易学における陰陽の一つ。陽(太陽=光)があって陰があり、それが物の存在を表している。

 
   
 

 陰影は奥行きや立体感が生み出し、モチーフの存在感を強調する。それはどんなものでも陰影によって、存在感が生まれることを意味している。陰影をどんな形であれ描き込めばそれなりに、写実的に見える。しかし、どこか不自然な印象を受けることがある。それは、光があって陰影が生まれるという原則を忘れているからである。陰影は光の方向を確認して入れる。それが原則である。

光の方向による陰影のでき方

   
  <水彩色鉛筆編>  
   
 

 水彩色鉛筆での重ね塗りは、水を使って色を伸ばした場合は、色鉛筆を塗って終了させる。重ねて塗ったところを水で再度伸ばすと下の色が溶け、色が混ざり合い濁ってしまうことがある。グロスメディウムを使うと、伸ばした上にも重ねて伸ばしができる。メディウムは皮膜を作るため、色が乗りづらい。それを回避するには、スーパーフィキサ(1,260円)を画面に吹き付けると乗りやすくなる。

上:スーパーフィキサで定着
下:その上に重ねて塗る

 
   
   
   
 

 水彩色鉛筆だけでなく色鉛筆全体について言えることだが、光沢のあるものは、色鉛筆の基底材に向いていない。ということは透明な基底材のほぼすべてが使えないということである。ただし、表面を無光沢にするものを付着させれば、着彩は可能になる。アクリル絵具で使用するマットメディウムかスプレー式のものが使いやすい。アセテートフィルムにマットメディウムを塗って、そこに着彩をする。メディウムを塗ったところは曇りガラス状になるが、白い紙の上などに裏返して乗せると、きれいに発色する。

上:マットメディウムを塗った上に着彩
下:裏返して仕上がり

 
   
   
   
  <マーカー編>  
   
 

 マーカーはデザインのカンプ(仕上がり近いラフスケッチ)で頻繁に使われていた。最近ではこの作業がパソコンに置き替わり、マーカーはアートやコミック、イラストに使用されている。マーカーの持つ素晴らしさは、着彩の準備もせずに、そのまま使えるところにある。その便利さは他の画材を圧倒している。マーカーは大別して水性と油性に分けられる。これは従来からの分け方で、最近ではさらに透明と不透明が水性油性に関係なく開発されている。さらにふちどりマーカーのような特殊なものも加わっている。

 
     
   
   
 

 マーカーによるボカシは、難しいと言われる技法の一つである。いったん乾燥して耐水性になるものはボカシづらくなるからである。そのため、塗った直後にボカシを行なうが必要である。油性の場合はアルコールやソルベントによってボカシができる。水性の場合は、乾燥しても耐水性にならず、水溶性を保つマーカー(サクラピグマックス)ならボカシが容易にできる。この場合は水を付けた筆、あるいはスポンジや綿棒でもできる。まず、マーカーを塗り、すぐにスポンジや綿棒に水を付けたもので、色を伸ばしていく。これは乾燥して耐水性になるものはできない。マーカー自身でぼかすこともできる。

 
   
   
  <透明水彩編>  
     
 

 透明水彩による透明感の出し方には大別すると2つの種類がある。もともと透明度の高い絵具なので、発色が澄んでいる。ただ塗っただけでも十分透明感がある。これを利用して、重ね塗り(写真上)をすることによって、下の色が透き通って見える。もう一つの方法は、重ねる色と下になる色を混色して塗り、地色は重ならないように塗る。こうしても地色が重なったように見え透明感が得られる。

上:下になる色の上に重ね塗り
下:図に地色を混ぜた色を塗る

 
   
   
     
 

 特定の場所に、色が付いて欲しくない時には、その部分をマスキングする方法がよく行なわれる。マスキングの中で、インク(液状)になっているものは、筆で使えるので、水彩では一般的なものになっている。ターレンスリキッドマスキングフィルム(75ml735円)は、細い筆でも使用できる。塗っていても線の太さが増さないものがいい。

1.水で薄めても使用できる
2.細い筆で鋭い線を引く
3.広い面積には太い筆
4.ラバーで簡単に除去

 
   
   
  <ペン画編>  
     
 

 スケッチは一般的に使いやすい画材を使う。鉛筆は柔らかい線が引けるし、何より消すことができる。そのために、デッサンやスケッチの下描きに使われる。本格的ペン画をやるプロ達は、下描きしなくても生き生きとした線を引くことができる。しかし、素人にとっては使い慣れないと線が萎縮したり、固くなったりする。ペンに慣れるためには、鉛筆を使わずピグマペンなどでスケッチするといい。やっているうちに必ずうまくなる。最初はデッサンにこだわらずにどんなものでも描くようにする。

 
   
     
 

 ペン画は修正しないのが基本。その方が線が生き生きしてくる。しかし、確かな線を引くには熟練が必要である。一発勝負的な世界は、一見さらっと描いているようだが、ほどよい緊張感がある。ペン画は最初のうち、線が思うように引けず、それで諦めてしまう人もいるぐらいである。上達の道は、失敗を恐れず、伸び伸びと描くこと。それで、失敗したときは修正すればいい。修正は、基本的にはカッターと砂消しで行う。ただし、基底材(紙)は硬めのしっかりしたもの(BBケントなど)を選ぶ。柔らかいものは毛羽立つ。

上:カッターの先で寝かすようにこする。
下:そのあとは砂消しで何回も消す。

 
   
   
   
  <クレパス編>  
     
 

 クレパスはオイルパステルと同種なので、油性である。この油性であることを利用して、表現の領域を広げることができる。揮発性の油で、油絵用のものが顔料には適している。油絵用の溶き油には、何種類か市販されているが、クレパスにとってはどれをということはない。一般的に、テレピン油(ターペンタイン)がよく使われる。1.ペトロール(55cc304円・ヌーベル)、2.テレピン(55cc336円・ヌーベル)、3.ターペンタイン(75cc787円・ターレンス)、4.ホワイトスピリッツ(75cc682円・ターレンス)がおすすめである。溶き皿は陶器やプラスチックなど、どんなものでもよい。

 
   
     
 

 クレパスは紙に直接ゴシゴシという感触を得ながら塗れるという、ダイレクト感が抜群の画材。そのクレパスにも弱点がある。細密に描けない、重ね塗りが難しいと言われている。実際にはそれを克服するための技法や補助剤が開発されている。重ね塗りは、そのままだとツルツル限界点がある。しかし、クレパスワニス「テクニカルコート」(1,470円)を吹き付けると、見事に色が乗る。写真左側はそのままの重ね。右側はテクニカルコート吹き付け後に重ね塗りしたもの。

 
   
     
 

 クレパスの制作は基本的には油絵の感覚に似ている。まず地塗りをして、その上に色を重ねていく。油性分が重厚な雰囲気をかもし出し、しっとりとした仕上がりを見せる。ここで重要なのは、色だけで重ね塗りをしていく場合(写真左)と、指で伸ばしていく場合(写真右)で表現のイメージがかなり違うと言うことである。直接塗って重ねると、厚塗りの効果が得られ、指で伸ばすと適度にぼけたなじみのいい雰囲気が得られる。いずれも、地塗りをしての効果であるが、地塗りによって表現の幅が大きく広がることが分かる。